ネタ vol.2013 | ナノ

◎ハートキャッチ

「お待たせ!」
「いや、俺たちも今来たところだ。な?」
「うん。みんな待ち合わせ時間よりも先に来るなんてね」
「じゃあ集まったところで水族館行くか」

 ‥御子柴くんがしゃべらない。
 赤い髪しといて人見知りとは、と内心馬鹿にはしているが、もしかして嫌われてるとかそんなことは微塵も考えてないから佐倉さんの「みこりんは人見知りなだけで‥」という弁明は、申し訳ないが聞き流させていただいた。

 でも、せっかく来たからには楽しまなければ損だ。

「佐倉さん、もっと近くに行こうよ。ほら、あの魚すごく美味しそう!」
「食用じゃないからね!?」
「あ、蟹もいるよ!」
「だからここは池須じゃないよ!」
「‥」
「ほら野崎くんだって絶句してるよ!」
「‥刺身にしたら美味いと思うか?」
「ワイルドすぎるよ野崎くん!」

 うん、楽しい。
 佐倉さんのツッコミは清々しくて面白い。

「中々濃いね、名字さん‥」
「まあな。普段は風紀委員の仕事やってるけど、あいつも実は部活動に入っているんだ」
「へえ、何の部活入ってるの?」
「異名を聞けば分かる。それはな、――‥」

 だいぶ満足していると、御子柴くんが寂しそうにしているのが目に入った。

「御子柴くんも、一緒に見ようよ。触れ合いコーナーもあるみたい」
「っ、俺のこと、怖がったりしないのか?」
「なんで? 赤い髪だから? 格好いいよ」
「なっ! あ、当たり前だろ?!!」

「照れているの? 真っ赤だよ? 愛しくなるほど可愛いね、マイハイネス」


「‥――異名は“演劇部のルパン三世”です」
「ルパンは大事なものを盗んでいきました、それはあなたのハートです、ってか」
「というのは嘘で、本当は“演劇部のピンクの悪魔”と呼んでいる。俺と堀先輩が」
「二人かよ! ピンクの悪魔‥!?」
「物を吸い込む星のカー●ィだ。あいつはなんでも吸収するからな」
「確かに今のは鹿島くんに見えたよ‥」


20140724


mae tsugi

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