▼玖渚友
「ねえねえ、私、友ちゃんのこと大好きだよ」
「うに、僕様ちゃんも大好きなんだよ!」
「違うよ、本当に大好きなの」
「僕様ちゃんも本当に大好き!らぶー」
伝わらないことがもどかしくて、いっそ、この小さな暴君を誰の目も届かないところへ閉じ込めてしまおうかと思った。そんなことしたら、泣けない友ちゃんの痛々しい表情を見ることになるからしないけど。
何で伝わらないんだろう?まだ愛が足りないのかな?言葉が足りないのかな?
こんなにも大好きなのに。
めちゃくちゃにしてしまいたいほど愛しているのに。
「いーちゃんと私、どっちが好き?」
「僕様ちゃんの一番はいつだっていーちゃんなんだよ。それは、あなたが一番よく知っているはずだよね?」
「……っ」
友ちゃんの一番になりたかった。
いーちゃんが妬ましかった。
なんで私が一番じゃないの。友ちゃんの一番になれなかったら、いくら地位や名誉、お金、愛があったったって意味がないのに。
「ごめんね」
泣けない友ちゃんが悲しそうに笑うから、私は友ちゃんの代わりに思い切り泣いた。
それでもやっぱり、私は友ちゃんが好き。
20120430
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