Make Up! Make Up!




見てはいけないものを見てしまった。

見てはいけないと言うより、見たくなかった。あなたがあたしの知らない女の子と会ってるとこなんか。知らなかったら、それでよかったのに。知らなかったら、それで幸せだったのに。

それから彼の行動が気になって、時々彼のあとをつけるようになった。案の定と言ってはアレだが、会っていることの方が多くて。
そのたびにあたしの心は鋼みたく強くなってった。だってこれ以上傷つきようがないじゃない。
だから。

「・・・・・もう、あたしのこと嫌いになった?」

「・・・・え?」

思った通りの反応。思った通りすぎて涙が出そうよ。バレてるなんて考えもしなかったんでしょう?あなたはそう言うところ、抜けてるよね。

「知らないわけないでしょ。・・・大好きだったんだから」

そう、好きだったのよ。だから彼のことならなんでも知りたかった。好きなブランドも、嫌いな食べ物も、どんなに小さなくせも。なのに、それが仇になるなんてね。

「ちが・・・っ、俺は・・・」

「っ、だいっきらい!」

部屋をとび出す。
大嫌いなんてウソよ。でもそうでも言わなきゃ、あなたはわかんないじゃない。傷つけてるのはわかってる。でもその方が楽なの。傷ついたぶん、傷つけて。傷つけたぶん傷ついて。

あなたといたら、あたしはどんどんあたしの知らないあたしになる。いったい誰なのよ、鏡の中にいる変に着飾った女の子は。


――――――――

やってはいけないことをやってしまった。

悪気があるどころか、ただの作戦だった。きみが知らない女の子と俺がいたら、ほんのちょっとでも嫉妬してくれるかなって。最近新しいことがなくて、きみにかまってほしくてしたこと。

でもそうしてるうちに自分でもおかしいくらいにのめり込んでいった。本当にバカみたいに。会うことが多くなって。やましい気持ちなんてなかったんだ。相手だってただの友だちで、それ以上の関係なんかなくて。

「っ、だいっきらい!」

そう言って出ていった彼女を見て、自分のしてることがほんとにバカなことだったんだって今さら気付いて。どんな理由があったって、こんなことしていいわけない。どうして、人間てそういうことにあとから気付くんだろう。

俺のわがままな感情が彼女を傷つけていた。ただ気を引きたかっただけなんだ。壊れるのが怖くて。きみに今以上に必要としてほしかっただけなんだ。

きみのそばにいたら、どんどん俺の知らない俺になっていく。いったい誰なんだ、鏡の中の俺とそっくりな男は。


(早く、早く、迎えにきてよ。またあたしがあたしじゃなくなっちゃう)

(早く、早く、迎えに行かなきゃ。その赤いくちびるにくちづけをして)


Make Up! Make Up!
 (恋が変わる。恋で変わる)


(make up! everyday make up! every time)


********
ちょっと展開と曲がズレた(汗)
本当は曲の上から下までまとめて女子視点で書ければよかったけど、男女それぞれ視点で展開した方が書きやすかったので( ̄∇ ̄;)

song by チャ/ットモ/ンチー


09/3/27 up










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