綺麗なその瞳を見つめる。
左右で違うその色は、とても美しい。
金と、赤。
ずっとずっと見ていたいくらい、素敵な色。
「涼太。なにか、用なのかな。」
「んー…特にないッスよ?」
「そんなに見つめられると、動きにくいよ。」
「…赤司っちの目、綺麗ッス」
不躾であるにもことに別段驚きもせず、
ふわりと笑った赤司の顔はとても穏やかで。
それからくしゃりと、髪を撫でられて。なんだか変な気分。
焦燥感?なんで?意味がわからなかった。
「ねぇ、赤司っち」
「ん…?」
「だいすきなんスよ、ぜんぶ…ぜんぶ……」
「ふふ…そう。」
「ずっと、ずっと、赤司っちの目、見てたッスよ」
そう言って、その閉ざされたまぶたに触れる。
この下には赤い瞳が隠れているのだ。
ゆらめく灯りのような赤い瞳。
…そっと、ゆっくり唇を近づけていく。
「…ん、」
「くすぐったい、涼太。」
お構いなしに、まぶたへと口付けをする。
諦めたように赤司の動きが止まる。
口付けをし続ける黄瀬の背中に手をまわして、されるがまま。
「だいすきッス、赤司っち。」
「知っているよ。」
赤と金の中に、自分を見付けてやっと不安から解放されるのだ。
誰かにしかなれない自分を、認めてくれるのは赤司だけ。
赤司だけが、自分を自分へと昇華させてくれた。
「さみしいのかな。僕がいるのに。」
ぽんぽんと、子供をあやすように背中を叩かれる。
それでもなお、ぐずるような黄瀬を邪険にする仕草は一切ない。
ただひたすらに、穏やかだった。
「僕は居なくなったりしないよ。」
「大輝やテツヤとは違う。」
「だから、その可愛い顔を見せてほしい」
「可愛い可愛い、僕の涼太…。」
心地よい声と、言葉が心を潤していく。
すべてを委ねてしまいたいと、そう思える。
身体を掻き抱く様に、赤司の身体を引き寄せた。
泣きそうな顔は見せられなかった。
「悪い子だね、涼太。」
「…赤司っち…赤司っち……」
顎を肩へのせ、耳元で囁かれる声はひどく柔らかい。
「もう少し、このままで…」
「わかったよ。」
「……赤司っちの匂いがするッス…」
「それは僕を抱きしめてるのだから当たり前だよ。」
「安心、するッス…」
「そう…。」
「オレのこと、ずっとみててね」
「勿論」
そうつぶやいて、もう一度強く身体を抱き寄せた。