47.5《047裏話》





「はーっ……」




部屋に着いた途端、やっと落ち着けた安心感からか、腰が抜けた。

一晩中気を張っていたために、疲労は限界に等しかった。


なんだ、あれ。


女の部屋で一晩過ごすっていうのは、あんなにも大変なことだっただろうか。

俺の乏しい経験と記憶からすれば、そんなことはなかった筈だ



正直、昨晩はかなり戸惑った。


なんて言ったって、つい最近好きだと自覚した女に誘われたのだから。


相当酔っていたため、冗談か、あるいは相手が誰かなんて気にしていなかったかのどちらかなのだろうが…

(後者だったらだったで、少しあいつのこの先が不安だ。)



服を脱ぎだした時点で、ヤバイと悟った。


何がヤバイって、他の何でもない。
俺だ。

そこでヤるかヤらないかは、酔っていない、思考がはっきりしたものによる。


ということは、俺が話を飲めば、酔ったあいつと、その…

セックスを、することになっていた。



そりゃ、好きな女とヤれたら、大抵の男は嬉しい。


が、俺は、それが目的であいつを好きなわけではない。


晩のことを思い出して泣く珠紀の姿を想像したら、どうしても、その話を飲むことはできなかった。



とは言ってはみるものの、俺も男だ。


反応するところはしっかり反応してしまうわけで…

服を脱ぐのをやめたと思ったら、反応したそれをあいつに気づかれてしまったのだ。


珠紀にはとても説明出来なかったが、あいつはといえば、

『スクアーロさんのエッチ』

なんて言って、上目遣いをしてきやがった。



そこから落ち着かせようにも、あいつは一向に落ち着く気配はなかったし。


俺も本気で理性と本能の瀬戸際に立ちつつあったので、やむを得なく、手刀で気絶させたという訳だ。



…本当に、あいつが記憶を飛ばしてくれててよかったと思う。



今朝だって、フランの話を振って部屋に帰って来なければ…

どうなっていたかは分からない。


正直、俺はあいつの泣き顔が嫌いじゃない。


サディスト的な趣味だとか、そう言うわけではなく。

なんていうのだろう。
守ってやりたくなるというか。


一種の気持ちの昂ぶりを覚える。


晩は、さすがに同じベッドで寝てやるわけにもいかずソファにいることにしたが。

やはり、寝息を聞いているだけでも、ダメなものはダメだった。



フランのような大胆なことは、さすがに俺には出来ないが。


ルッスーリアもよく言ってくる。




『のんびりしてたら、あの子、誰かにとられちゃうわよ!』




押しの弱いまま、うかうかしてはいられねえよなぁ。




「…はあ。」




深く吐いたため息を少し吸ってみながら、俺は、浴室へ向かった。





――――――
近頃、隊長のゴリ押しが酷い件。

フラグを乱立しては回収する珠紀ですが、フラグも立ってないのにドヤ顔でイベントをねじ込んでくるのが私、緋埜です。


back next

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -