029「gender problem !!」





こんにちは満天です。


管理人は翌日までの課題が終わっていないと嘆いています。

それでも私の話を書くそうです。


バカなのかな。

優先順位も冷静に考えれないなんて、バカなのかなあの人。


ていうかホントは違う話の予定だったのに、こんなことになってるとかバカなの?

いや本当にバカだよ。
本物のバカだ。



「はあ……」



初春の日差しが暖かいこの部屋。

ヴァリアーとかいう暗殺部隊に嫁いできた私に用意された、私だけの空間。


白い壁。大きな窓。

まるでお姫様の部屋だ。


天蓋付きのベッド、

大きなクマのぬいぐるみ、

沢山の本が入った本棚……。


どれをとっても満足できる要素しか見当たらないこの空間。


けれど、私には一つ二つ、悩みがある。



「暇だなあ……」



1に、一日中何もすることが無くて暇をもて余していること。

これはどうしようもない問題。


なぜなら「嫁いできた」とは言っても、相手は大マフィアの元首領の御曹司。
ボンボンなんだ。

家政婦…というか沢山のリアルメイドさんがいて、執事がいて、私には何も家事などをやらせてくれないのだ。


そりゃボスの嫁だから、何かあったら大変なのは分かるよ?


けど、暇で暇で、このままじゃボケそうなのだ。



「……どうしよっかな」



悩みその2。

新婚生活について。


そう。
私は新婚花嫁。

仮にも新婚花嫁。


なのに、この新婚生活(仮)はあまりにもあっさりし過ぎている。

淡白な夫、じゃきかないくらいに淡白というかあっさりというか…。


元々深い仲ではなかったにせよ、これはあんまりだ。と思う。



夜の営みだって…ねえ?痛いし。

誰だよ気持ちいいなんて言ったやつ、出てこいよバカ。


…あ、珠紀のやつもなんか言ってたっけ。

まあいっか。
バカにバカって言っても何かが変わる訳じゃあるまいし。


うん、そう考えたら気が楽だ。



「雲雀珠紀のバァーカ!!」



そして思わず叫んだ。


別に珠紀を恨んでる訳でも嫌っている訳でもないけど、なんかむしゃくしゃしたし?

(あ、なんか犯罪者みたいな言い方になっちゃったよ。)



「誰がバカ?」

「珠紀だってば!」

「…いや何でまたいきなり叫んだの」


「そりゃ頭の中に出てきたからっ………

…あれ?いたの?」



すると突然後ろから聞こえた声。

うわあ、これだからドアの鍵は駄目なんだよ…。
なんのために付いてるんだよ、もう。


あ。

私が閉め忘れただけか。



「ちょっと用事があるんだけど、」

「お金なら貸さないよ?」


「一回も借りたことないけど!?
……違うわ、全然違う用件だから。」



そう言って、珠紀は『全然違う用件』とやらを話し始めた。



「お前さあ…

新婚生活上手く行ってる?」


「え?」

「だから、新婚生活「なんで知ってるの?ルッスーリアが言ってたの?」…いや、まあ。」



最悪だ。
せめてコイツには、こんなことバレてほしくなかったのに。

なぜか?

絶対バカにされるから。


すると珠紀は、図々しいほどにどっかりとソファに腰を下ろしてこう言った。



「あのさあ……今すぐボスと仲直りしてくんない?」


「…はあ?なんでさ。」



なぜに珠紀にそんなことを言われねばならないのか。

というか、喧嘩をしているわけでもないので仲直りもクソもないのだが。


少しイラッとしたが、口には出さずに話を聞いた。



「いやね。
わたし、これからボスに頼み事してこなきゃいけないんだよね。」

「それとザンザスさんの機嫌と何が関係あるの?」



私がそう言うと、珠紀はでっかくため息を吐いた。



「ボスの機嫌悪いときに頼み事なんて、そんなの自殺行為でしょ。


認めづらいところではあるけど、うちのボス…
ってか、お前の旦那。

にぃより強いんだよ?


兄妹喧嘩であんな目になったわたしには、ボスの本気の暴力なんて絶対耐えられないね。

まるで生き残れる気がしない。」



「…まあ、それはそうだけど。」



じゃあ私にどうしろというのか?


そう口に出そうとした瞬間珠紀はニヤリと笑って、背後から巾着袋を取り出した。



「どしたの?」

「やるから、開けてみ。」



そう唆された私は、言われるがままに巾着袋の紐を引いた。


――ゴトン


するとどうだろう。
中から出てきたものを見て、アラびっくり仰天。



「これ奮発したんだよ〜…

全部使って慣れなよ?
そして最後にゃボスのをぶちこんでそれ仲直りだ。

どうよ作戦B!」


「…とりあえず作戦Aは聞かなくてよかったわ。
Bも聞きたくなかったけど。」


「ちなみにわたしが考えた作戦は全部で26個。」



誰も聞いてないしね!

しかも結局アルファベットの数だけあるんじゃん。


てか最終的に2個目選ぶとか、後から考えた24個の作戦分の時間無駄すぎるでしょ…

何やってんのコイツ。



「作戦Aはわたしが手取り足取り慣れさせて最後にゃボスのをぶちこんで仲直り。

作戦Cはわたしの部下を使って慣れさせて最後にゃボスのをぶちこんで仲直り。

作戦Dは任務で捕らえた奴を使って慣れさせて最後にゃボスのをぶちこんで仲直り。

作戦Eは「もういいもういい分かったから作戦Bでいいから!!」…っし!」



ガッツポーズが妙に腹立つ。

最終的に全部ぶちこんで終わるんじゃねーか、なんかもうレパートリーが少ない。



…と、巾着袋から珠紀が取り出したものか、まだ説明をしていなかったよね。


説明しなくとも察しのいい方は既にお気づきかもしれないけど…

そうだ。
きっと予想は当たってる。



「じゃ、何個か使わないのあったら教えてよね!
わたしが貰うから。

バイビー」


「あ、ちょ、待っ!」



――バタン

勢いつけて閉められた扉。


ていうか古いよ。
「バイビー」って。

もはや今の時代じゃ死語だよ。


残された私は、珠紀が残していった机に転がるそれを見て、ただただ、ため息を吐くしかなかった。

(いや、別に「ハアー…ハアー…」とかため息吐いてるわけじゃないよ?)



「……どうすんだコレ。」



そこに転がるうちの一つを手に取り、おもむろに電源を入れてみる。

カチッ
うぃんうぃんうぃん…


二つ目を手に取り、そしてまた電源を入れてみる。

カチカチカチ…
ヴヴヴヴッ


かち。

まあ、すぐに全て切ったけども。



……ねえ珠紀。

これ、どうしても使わなきゃ駄目かな。



私が愕然として虚しく転がるそれに視線を落とすと、巾着袋から小さな白い片が覗いているのが見えた。


それを手にとって見てみると、小さく一言、文字が書いてあった。



「…『捨てたり使わなかったりしたら暗殺しちゃうゾ☆

ヴァリアーのマドンナ
 珠紀ちゃんより』……」


…………。

…腹立つなあコイツ。



なにはともあれ、これから私の性生活が始まりそうです。


悩み解消になるとは言え。

友人の助けとは言え。


とてもやりづらいことだが、この際だから乗ってやるとしよう。



「はあ。」



これで慣れてザンザスさんの機嫌が治ったら、珠紀にお寿司おごってもらおう。





―――――
やっと満天さんが出たのにも関わらず、いまいち分かりづらい話になって参りました。


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