019「花束を」









一昨日の明後日になったわけなのですが。

今日は何の日でしょうね。


♪きょおーは何の日?日になる日になる……

「日になる」ってなんだよ。



今日はですね。


友人の結婚式なのですよ。


中学からの旧友・沢田満天と現上司・XANXUSの結婚式。



もう色々考えるのも飽きてしまうくらい、今回のこの件に関しては、リア充撲滅を願いましたよ。

もう憎しみ濃すぎて何言いたいのかすら伝わらないというね。



…本当に憎いわけじゃないんだけどさ。

やっぱり、こう、行き遅れそうなレディに対して「友人が結婚する」なんて、酷だと思うの。


酷すぎるの。



わたしだって早く結婚したいし、子供だって生みたいし、平和で幸せな家庭を作りたい。

マフィアな時点で「平和」な家庭はつくれないかもしれないけど。


そろそろ、「幸せ」を掴みたいなっていうのもね。

あるかなあと。



戦国時代ならババアだからね、26歳なんて。




友人の結婚式なんて、誰が祝えるんですか。




「…似合うじゃなぁい。満天!」




ホホホホといった感じの笑い声が、室内から聞こえてくる。


ここでのわたしの任務は、ボスの花嫁、すなわち満天のの護衛だそうだ。


いや、部屋ん中のほうにルッスいるじゃん。


護衛いらねーよ。




「……ボスが見たら、ビックリしちゃうわぁ!」


「楽しみね〜、ルッスーリア♪」




きっと着せ替え人形みたいに扱われているんだろう。


たしかお色直しは3回だとか言ってたな。

おそらく、いまから項垂れていることだろう。


こっちは羨ましいっつの。




「おっ、珠紀じゃないか?」


「あ…満天パパ、こんにちは。中、多分大変なことになってると思いますよ。」




そういえば、あちゃーと言ったように苦笑いするが、やはり、どこか嬉しそうだ。


そりゃ、愛娘の結婚式だ。

たったひとりの、大事な大事な娘の結婚式。


嬉しくないはずがない。




「よぉーし、じゃ、見てきますかなっと!で、珠紀は入らないのかい?」


「ああ…ええと、」


「ん?」



「仕事、です。」




わたしが笑ってそう言えば、満天パパは真面目な苦笑いを浮かべた。

そしてこちらに手を軽く振ってから、室内に入っていった。


キレイな花嫁見に来ましたよーっとか言いながら。




ピリリリリッ



満天パパがいなくなったのを見計らったように、着信音が鳴り響く。


いっけね。

仕事中なのに切るの忘れてた。




「もしもし、」


「珠紀かあ?」



携帯なんだから聞かなくてもわかりませんか。



「俺だぁ。」



知ってます。




「今着いてる任務は離れて構わねえ。ルッスーリアにも連絡のメールは入れておいた。

新しい仕事を与える。」




よく聞けと念を押される。
信用ないのね。

というか、わたしは話はよく聞いてるけど覚えれないだけなんですよ。

いつでもきちんと聞いてますから。


そうしてスクアーロさんは、口を開いた。








「満天に花束を」








思わず身体が固まった。



「な、何を言って…」



ついに頭でも狂ったのか。

わたし自身、他人のことなんて言えないけれど。


「お前、あいつには久しぶりに会ったんだろぉ?



なんで。



「親友なんだ。


花束くれえ渡してやれぇ。」



なんで、こんなことするんですか。


親友への気持ちと焦りと、よくわからないごちゃごちゃとした感情で、訳がわからない。


意味もわからず涙が出そうな感覚を堪えながら、言葉を絞り出す。



「…でも、そんなのどこが仕事だって言うんですか。」


「うるせぇ、黙ってやれ。」


「…ハッ」



なに鼻で笑ってやがる、と小さく笑っている電話越しの声。


有無は言わせないってことだろう。



「わかりましたよ」



もうどうでもよくなっちゃったよ、ぜーんぶね。


仕事だなんて言われたら仕方ない、やるしか選択肢はない。

というかまあ、ずるい気もするけれど。


やってやる。



式は10時30分からだ。

遅れねえようにしろよ。


そう言って、スクアーロさんは電話を切った。



「…10分じゃん」



思わず鼻で笑った。







end


あとがき

あるぇ?久々に書いたら笑えるほどグダグダだよ?

なにこれ?あるぇ〜?

…げふん。自重。


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