015「refrigerator」









「え、ボス、結婚するんですか!?」



「あぁ、」





この衝撃の会話ののち3日後、XANXUSら幹部4名は、日本へ発った。










――――――――――…










レヴィと2人で留守番。


なぜこんなことになってしまったのかというと…






「え、ボス、結婚するんですか!?」


「あぁ、」


「え…相手はどこの馬の骨なんですか。」


「お前よくボスの婚約者を馬の骨扱い出来るなぁ…」


「金魚の糞でも可ですが。」


「もっとひでぇよ!!」




3日前のことだ。


われらがボス、XANXUSが結婚すると聞いたのは。




「沢田綱吉の姉だ。」


「相手ですか?やべっ、ボス、凄いじゃないですか。
マフィアのボスの姉と結婚だなんて!」


「てめえは俺が暗殺部隊のボスだって忘れてるだろ。」


「いやいやいやいや、とんでもないですよ!」


「てなわけで、日本に行く。」


「いきなりですね。」




ボスの爆弾発言に驚きながらも、わたしは、心の中でボスの結婚を嬉しく思っていた。


結婚して落ち着けば、もう少し大人しくなるかと思ったからだ。


…いや、やっぱ違う。

違う違う。純粋にね!




「…て、あれ?」


「あ?」


「沢田綱吉の姉ですか?」


「ああ。」


「もしかして沢田満天とかいうチビじゃありませんか?」


「ああ、今じゃチビなのか、あいつは。」


「いや……え?」


「そのチビで間違いねえと思うがな。」




「……………………」


「珠紀、どうしたんだぁ」


「…スクアーロさん、」


「あぁ?どうしたぁ」


「上司と友人が結婚したら、その友人は、自分よりも偉くなるんですかね?」


「そりゃ、立場的には逆らえねえだろうなぁ。」


「………………………」



「珠紀?」


「ぶはっ!ひでえ顔してやがる!!」



「…………………





いやああああああああああ」




立場的に満天に逆らえないわたし!!?

想像ができない。


オラオラもっと磨けや、とか言われて床掃除させられるんだ、そうに違いない。

今ならシンデレラの気持ちがよくわかる。


うわああ助けてロミオうわあああああ…


こうなったらいっそ毒林檎食って目覚めたくないんだけど。



なんか色々混ざった。




「じゃあ、俺達は日本に行くから、1日大人しくしてろよ、カスが。」




笑顔でいってらっしゃいとは言えなかった。


いや、恋人との切ない別れとかじゃなくてね。




「誰がこいつと一緒に留守番して嬉しいんおぼろろろろ」


「ぬうう貴様また俺の顔を見て吐いたな!無礼な!」


「いいから近寄らないでおぼろろろろ…」


「うぬぅう」




どうすんだよ。

わたし胃になんか入れたら全部出ちゃうじゃん。


レヴィを珠紀に近寄らせるべからずってな決まり作らなかったっけ?



とりあえず、今日1日だけなんだから。

簡単なご飯ならわたしの部屋でも作れるし…


よし。部屋に篭ろう。


しばらくヴァリアー暇が続くらしいから、こんなことになってんだよね。


警察が頑張ってるからわたしらマフィアは暇になるんだよ。

仕事片付けられて。



決めた。

わたしはヒッキー。

今からヒッキー。




「じゃあレヴィ、わたしは部屋から出ないから。
ゲロの片付けよろしおぼろろろろろ」


「くっさぁぁぁあああ」









――――――――――…








部屋に戻ったはいいんだけど、わたし、朝起きてから何も食べてないや。


起きてご飯食べに行ったらレヴィがいたからね。

で吐いたからね。



まずご飯食べなきゃ。


冷蔵庫の中にはなんかあったかなー…っと。


わたしは冷凍食品ばっか買うクセがあるから、とりあえず、冷凍庫を見れば何かあるだろう。


がさごそ漁ってみる。



お。あったあった。





『冷やしてお食べください』



袋はジッパになっている。

開閉自由だ。



『アルマジロ』と書いている。




「こんなん買ったっけ?

まあ、開けた跡あるし、食べれるよね。」




袋を開けると、ハリネズミが入っていた。


そしてハリネズミは、




「温めてお食べください」




と言って、わたしが持っている袋から出て床に降りた。



なんか、冷やしちゃダメっぽいから食えないかな。


他に食べれるものを探そう。



つぎに見つけたのは『ハリネズミ』と書かれた袋。

今度は『温めてお食べください』と書いている。



ああ、そうか!


多分前食べたときに入れ間違えちゃったんだな、わたし。

じゃあこっちにはアルマジロが入ってるんだね。
読めたよ。



わたしはウキウキしながらジッパを開けた。




「食べないでください」




中身はハムスターだった。




「え、待って、なにこれ。なんでハリネズミじゃないの?」




ハムスターは先程のハリネズミのように床に降りて、ハリネズミのもとへ駆けていった。

勢いよくハリネズミの背中に乗ったが、大丈夫なんだろうか。


どうやら仲がいいらしい。



じゃあ、アルマジロはどこに行ってしまったのだろう。


戯れるハリネズミとハムスターを見て、わたしは考えた。



もしや、『食べないでください』と書かれた『ハムスター』の袋があるのでは?


そして、その中に、今度こそアルマジロが入っているのではないか?



そう考えたわたしは、冷凍庫を更に奥まで漁った。

ハムスターの袋はない。

出てくるのは、肉巻きポテトやお袋の味煮物セットなんかばっかりだ。


すべて出した。

が、ハムスターの袋は無い。




「どこだ…!?」




ふと、製氷機を見る。


たくさんの氷に紛れて……




「冷やしてお食べください」




アルマジロが…………




「ああああああああ」




なんでそんなところにいるんだよ!!?


ハムスターの袋は!?




「あ!にゅうたろうーお前どこ行ってたんだよー。」


「製氷機だけど?にゅるじろうこそオレの家取ったじゃねーか。」


「でもボクの家あげたよね?交換したじゃん。」


「なんか得体の知れないハムスターに取られたんだよ。」


「ハムスター?ああ、この、にゅるぞうのこと??」


「お前っ!オレの家を取ったやつだ!」


「ごめんなさい!でも、オイラ、寒さに弱いから…本当にごめんなさい」


「…まあ、オレもいつまでも引きずるほど子供じゃねえからな。許してやるよ。」


「アニキ!あ…ごめんなさい、つい…」


「はっ、アニキでいいぜ、好きに呼べよ。」


「アニキぃいい!」




…なに、この小芝居。


セリフだけ見てれば、名前を抜かせばまだ、感動できそうなものだけど…

騙されないでほしい。


だってこれ、アルマジロとハリネズミとハムスターだからね。


見てたらわかるよ。

テラシュールだから。




「ん?そこのお前は…」


「は、はいっ!?」


「ああ、新しい部屋の主か。よろしく頼むぜ。」


「あ、はい…」


「ボクらを開封したってことは、扶養義務を背負っちゃったってことだからね。」


「よろしくですアネゴ!…あっ、ごめんなさい、つい。」


「まあ、何はともあれよろしくな!」


「「よろしくね!」」


「………ああ、はい。」





こうして、アルマジロ、ハリネズミ、ハムスターの三匹が、わたしの部屋に住み着くことになりました。






―――――
あとがき

なにこれ予想外すぎる。
考えてもませんでした、こんな超展開。なにこれ。


にゅうたろう、にゅるじろう、にゅるぞう…いや、意味わからん。








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