011「きれい、」










前話では、あのような暴挙に至らせてしまって申し訳ありませんでした。


翌日、珠紀は無事ルッスーリアと任務に着けたようですので、ご安心下さい。



ちなみにヴァリアーには新しい法律が出来ました。







暗殺部隊ヴァリアーの死守すべきオキテ 第57条



「珠紀、レヴィに近寄らせるべからず。」





ネーミングセンスが来い。










――――――――――












「スクアーロさん、あの、」





なんで歩く距離がこんなに遠いんですか?



任務ですよ?


できるだけ離れないように固まって移動した方がいいのではないでしょうか。




「う゛おぉい珠紀、今からてめぇに言うことをきっちり守れよ」

「はい!」


「まず俺から離れて歩けぇ。」




すいませんもう一度言います。


任務ですよ?




「少なくとも半径1km」




任務ですよ!?


言い付けはまだ続く。




「2つ目に、余計な動きはするなぁ。」




あ、それはまともですね。


余計な動きをするな、と…よし、わかりました。



そして、スクアーロさんは3つ目の決まりを言った。






「……俺の目の届く範囲にいろぉ。」






あのう。


スクアーロさん、視力がいいんですね。

半径1kmですか。

…視力がいいんですね。



ていうか無茶苦茶だ!!




「わかったら返事は!」

「は、はい!了解です!」




返事だけは一人前ってこういうことだと思う。


けど、ここはツッこんじゃいけないところだ。



私は言い付けを守るべく、スクアーロさんから離れたが、



「目の届く範囲にいろっつっただろうがぁ!!」



怒られた。

なんて横暴。



スクアーロさんのキャッチコピーは、「ラン暴オウ暴アバレン暴」で良いかな?


なんか、「ラー麺ツケ麺僕イケメン」みたいでよくない?



あ、よくない。

そうすか。




なんとか目的の部屋の付近まで到着した私たち2人は、天井裏へあがり、目的の部屋の天井まで移動する。


なんて古典的なんだろ。



はは、スクアーロさん、結構いいお尻してるなあ。


天井裏だからほふく前進して進んでるわけだけど…なんか目の保養。

(尻フェチじゃないよ!)



「ついたぜぇ」



キュッと引き締まったお尻がプリッと止まった。

私のデロッとしたお尻とは違うんだぜ。
うらやましいんだぜ。


鼻血が出そうな感覚に耐えながら、私は小声で話すスクアーロさんの話へ耳を傾ける。



「いいかぁ、まず、お前はここで待機してろ。

で、俺がここから降りて、ターゲットをやってる間に、降りてあそこの角の扉に入れ。

部屋の中央にでけえ棚がひとつある。

ひとつしか引き戸はねえはずだから、そいつを開けて、重要書類をかっさらえ。


…鍵開け、得意だったよなぁ?」




なんで知ってるんですか、そんな個人情報。



あ、履歴書かな?

書いたのをやっと見てくれたのかな、多分…。



一応、任務には聴診器とハリガネとくらいは持ってきてる。


なんだかヴァリアーに来てから初めて役にたてそうな予感がする。



緊張しつつも「任務全う」という意識に満ちていた私は、スクアーロさんが天井から降りたあと、張り切って天井から降りた。


着地は決まらなかった。

あれ、おかしいな。


若干鼻血が出そうなのをこらえながら、スクアーロさんが戦っているのを避けて、目的の扉を開ける。




「あ…あれだ」




部屋にはスクアーロさんが言った通り、大きな棚があった。

観音開きになっている。


ガラス張りの棚の中に、ダイヤルロックの金庫のようなものが見える。



ダイヤルは2つ。


ああ、なんだ。

簡単に開きそうだ。



これならば、聴診器さえ必要ないだろう。




扉に手をかけた、そのときだ。







ズダダダダダダ!!







中から、散弾銃が。



不規則に飛んでくる弾。





あ、死ぬわ。



そう思った途端に、私の足はもつれて、私はガッツリその場に……








こけた。






「だっ」





弾がやんで、シュウゥゥと弾痕から焦げた音が聞こえる。


私は手を伸ばして散弾銃が発砲されないことを確かめて、立ち上がり、収納された散弾銃をぶち壊した。



「こえーよ!!」



言いたいことはまあ、それだけじゃないんだけれど。


運よく助かった身としては、いまはこの一言に限った。



まわりにも何もないことを確認し、ダイヤルロックを解除する。

と、金庫の中からはスクアーロさんが言っていたと思われる重要書類が出てきた。



これって、任務完了かな。


いや、家に帰ってただいまと言うまでが遠足だよね。



とりあえず、スクアーロさんのもとへ戻らなくては。


もときた場所へ戻ろうと歩きだした、その時。




「う゛おぉぉぉい!!珠紀、生きてたら返事しやがれぇ!!!」





勢いよく扉が開いた。


あ。スクアーロさん。


ああ…あんだけの銃声だもんね、そりゃ来るわ。




…ってうわ、血まみれ。



そんなに急いできたんですか、それともそんだけ殺ったんですか?


まあ気にしないんだけどね。




「スクアーロさん、私は全然生きてます。
それよりも、これ。」


「!!
……お前、マジでできたんだなあ。」


「鍵、2個だけでしたよ。」




なんだかある意味馬鹿にされたみたいだ。

そんなに驚くこともないのに。




「…とりあえず、生きてたならよかったぜぇ。」


「そんな簡単にくたばりませんよ…誰の妹だと思ってるんですか。」




そうだ。私は、雲雀恭弥の妹なんだから。


そう簡単に死んでいるようじゃ、にぃの妹は務まらないんだよ。




「帰るかぁ。」



「はい。」






歩き出したその先。



扉の向こうは、血の海だった。




けれど、どこか安堵したようなスクアーロさんの表情が、それとはあまりに不釣り合いで……





きれい、だった。








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あやしすぐる\(^O^)/

まとめれなくなったので強制終了。。。





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