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「#幼馴染」のBL小説を読む
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兵士長夫人のエプロン



お父さん、お母さん。
お元気ですか?

先日、なんとリヴァイさんに手料理をふるまってもらいました。



ーーーーーーーーーー



「リヴァイさん……似合う……!」


ユフィは口に両手を当てて、ふるふると震えた。

目の前には片腕の袖をまくり上げている最中のリヴァイ。
白いTシャツの上から黒のエプロンを着けている出で立ちだ。


「そうか?」

「それはもう!リヴァイさんなら絶対かっこよく着こなせると思ってました!」


感極まっているような彼女を横目に彼は反対の腕の袖もまくった。

この黒いエプロンはユフィがリヴァイ専用にとこっそり買ってきたものだ。

二人の休日が重なったこの日にリヴァイが夕食を作ってくれると言うので、さっそく着けてもらうとその新鮮な姿に彼女はきゅんきゅんしてしまった。

どうやら男性のエプロン姿がちょっとしたフェチらしい。


「黒いエプロンが似合う男の人ってほんと素敵……。」


リヴァイは逆上せたように見つめてくるユフィへ素早く距離を詰めて、薄く開いた唇を自分のそれで軽く食んだ。


「惚れ直したか?」

「〜〜〜!!」


鼻が触れる距離で不適にそう言うと、顔から湯気が出そうな勢いで赤面させる。

それを内心で面白く思いながら額をこずいて、


「お前はいつもやってんだから手伝わなくていい。出来るまで待ってろ。」


とユフィをキッチンから追い出した。


「お手伝いしなくていいんですか?」

「いい。料理は自分のペースでやりたい。」

「ふふ、了解です。」


その気持ちが分からなくもないし、こだわりがあるのか1人でやりたがる彼がなんだか可愛く思えてユフィは頬を緩ませる。

それでもやっぱり料理するリヴァイが気になるので、リビングに引っ込んではキッチンを覗き込みに来るユフィだった。



***



ちょうど夕飯時になった頃、食欲をそそるスパイシーな香りが部屋に満たされる。


「できたぞ。」

「わぁ!私、カレー大好きです!」

「そりゃよかった。」


深めの皿に盛られたカレーやサラダに顔をほころばせ、ユフィは未だ甘い余韻の残る腰をさすりながらテーブルにつく。

実は少し前に「1時間ほど具材を煮込む。」とエプロンを脱ぎつつリビングにやってきたリヴァイにソファーの上で襲われ、部屋に射し込むオレンジ色の夕日に包まれながらいたしてしまったのだ。

まだ明るい時間帯にも関わらずいやらしいことをしている背徳感から、いつもより燃えてしまったことは否めない。


「お腹ペコペコ。いただきます!」


向かいで彼はスプーンを取り、ユフィもカレーをさっそく口に運ぶ。


「ん……!美味しい!」

「そうか。」


風味を損なわないくらいの調度よい大きさに切られた野菜や柔らかくて食べごたえのある肉、スパイスの旨み、そして隠し味のにんにくが舌の上で絶妙にマッチする。

その美味しさをユフィは目尻を下げて頬を片手で包むようにして味わった。


「はぁ……幸せ……。今日はリヴァイさんのエプロン姿も見られたし。」

「…………ユフィ、調理員は全員コックコートだったよな?」

「え?」


彼はむっすりとこちらを見てくる。
その珍しい様子に、彼女の内心にいたずら心が芽生えると共に笑みがこぼれそうになった。


「……エプロンの男性もいますよ?」

「……!」

「あはは、嘘です!みんなコックコートですよ。」


自分の好きなエプロン姿の男が職場にいるといことに対して表情を険しくするリヴァイがあまりにも愛しくて、ついにユフィは破顔した。


「ったく……こっちの気も知らねぇで。」


はあとため息をついてリヴァイはまた一口カレーを食べる。

可憐なユフィに悪い虫がつかないか、彼は本当は気が気ではないのだ。
できるならば働かずにこの宿舎で、専業主婦として誰の目にも触れさせずに自分だけの相手をしてほしい。

しかし彼女が大人しく家にいるタイプではないことは、重々承知している。


「ふふ、ごめんなさい。でも嬉しいです。」

「許さん。今夜は抱きつぶしてやるから覚悟しろよ。」

「……っ!ゆ、夕方もしたのに……?」

「足りねぇ。」

「そう、ですか……。」


食事のあとに繰り広げられる情景を思って困ったように顔を赤らめるも拒否はしてこない彼女を見つめて、口の端をわずかに上げたリヴァイは皿を持って立ち上がった。


「あ、おかわりですか?私もしようかな。」

「皿貸せ。ついでに入れてきてやる。」

「え、あ、ありがとうございます!リヴァイさんのカレー、美味しくて。」


キッチンに消えて少しして戻ってきた彼を、ユフィは微笑んで見上げる。

厳しい現実の中にぽつぽつとある、この何でもないささやかな日常がたまらなく愛おしかった。


「リヴァイさん、私、幸せです。」


リヴァイはかすかに目を見開いて、そして照れたのか視線をそらすように伏し目になり、


「……俺もだ。」


呟くように小さく言った。



ーーーーーーーーーー



優しいリヴァイさんは私をこまめに労ってくれます。
ハードな日々を過ごしているのは彼の方なのに。

そう伝えると、自分がやりたくてやってるから気にするな、と言ってくれます。

労ってもらうのはなんだがムズムズしますが、その言葉に甘えることもリヴァイさんという相手がいるからこそできることなのかなぁと思ったりします。

それでは、また。


ユフィより。


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