兵士長夫人のマーマレード
お父さん、お母さん。
お元気ですか?
先日、送ってくれたオレンジが届きました。
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いつもより少し早めにリヴァイが帰宅してドアを開けると、甘い香りが鼻をくすぐった。
すぐさまユフィが玄関へ顔を出す。
「お帰りなさい!」
「甘ったるい匂いがするが……何を作ってる?」
「ふふ……実は親戚の生産者の人が両親にオレンジをたくさんくれたらしくて。うちにも送ってくれたんで、今マーマレードを作ってるんです。」
ブーツを脱いでキッチンに向かうと、先にコンロに戻っていたユフィが鍋の火を止めた。
彼女の背後からコンロを覗くと、そこにある鍋には湯気を立てて、まだゆるいマーマレードが煮えていた。
「お砂糖って高いんですけど、調査兵団の食材の取引先から安く購入させてもらっちゃいました。」
振り返って嬉しそうに話すユフィの頬にマーマレードがついていて、リヴァイは引き寄せられるように顔を近付け、
「ぁ……っ?」
ペロリとそこを舐めた。
「頬についてた。」
「あ、ありがとうございますっ。」
途端に彼女は顔を赤らめて、恥ずかしそうに頬を手のひらで覆った。
同居してからもこういう風に初々しさを保つユフィを、リヴァイは気に入っていたし、愛しくも感じた。
頬に添えた手にも目が行き、その腕を掴んで今度は自分の口元に持っていく。
「ここにも。」
「ひゃっ、」
人指し指に突き出した舌を這わせるとかすかに苦みのある甘さが口の中に広がり、甘いものは得意ではないがこれなら口にできそうだと、リヴァイは胸中で独りごちる。
ユフィはその生々しい感触にぴくりと体を震わせた。
今度は唇と舌を使って、中指全体をゆっくり、ねっとりと官能的に舐めた。
視線はユフィの瞳をしっかり捉えたまま。
「り、リヴァイさん……っ、手……洗いますから……っ。」
指先に与えられた刺激は彼女の腰にまで届き、下腹部をじんじんと反応させる。
弱々しく抗議しながらも、瞳を揺らめかせてユフィはその色っぽい光景を見つめるしかなかった。
「ユフィ。お前は指も性感帯だったのか?」
「わ、分かんないです……そんなのっ、」
リヴァイはマーマレードのついた指を全て舐め終えて、戸惑う彼女の腰に手を回してを引き寄せ、耳元で低くささやく。
「なら今夜はお前の指を舌で愛しながら抱いてやろう。」
「〜〜〜っ。」
口をぱくぱくさせる真っ赤なユフィを一瞥して彼女の腰を解放し、リヴァイはさっさとリビングへ向かってしまった。
「腹減った。」
その声で我に返ったユフィは赤面したまま、仕込んでおいた夕食を急いで準備しにかかるのだった。
不意にこんな恥ずかしいことをしてくるのだから敵わないと、心の中でブツブツつぶやきながら。
夫婦となってからも彼にはときめかされてばかりで、日々ユフィはリヴァイへの愛情を痛いほど胸に実感するのだった。
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オレンジはさっそくマーマレードにしました。
リヴァイさんは甘いものは苦手なんですが、これなら大丈夫なようでパンと一緒に食べてくれました。
嬉しいし、ありがたいです。
マーマレードはたくさん出来たので、もしよければ送ります。
(職業柄、砂糖が安く購入できたので。)
それでは、また。
ユフィより。
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