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「#幼馴染」のBL小説を読む
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- ナノ -
2 …………


ここのところ立体機動装置の不具合が相次いだ。

装置の外部は訓練兵の課程で修理する術を学ぶのだが、内部に関してはその技術や構造はブラックボックスとなっており、内側の損傷の疑いのある場合はウォール・シーナにある技術部に送らないと修理できない。

シーナに送るとなると時間もかかるし予備の装置も数があるわけではないので、今回、技術部から人員を派遣してもらい、不具合の修理を調査兵団内で済ませられるように手を打ったのだ。

加えてこの技術者の派遣は、現場と密着した開発・研究の促進や経費と時間のロス削減に繋がるとして、調査兵団における技術部門の新たなポストを設置する試験的な意味も含まれている。


「話は以前から聞いていたが、その派遣員がてめぇってわけか。」

「いたたたたたたた!」


無表情のリヴァイはユフィの頭をわし掴み、ぎりぎりと圧力を加える。


「リヴァイ!痛いいたい頭割れるいたい離せ!!」

「だから口のきき方がなってねぇっつってんだろ。せめて"さん"ぐらい付けろクソガキ。これから3秒以内に呼べなかったら今の痛みの5割増しだ。3……2……、」

「リっ、リヴァイ、さん!!」


ぱっと手を離すと、ユフィは頭を抱えてフラフラとよろけた。


「リヴァイ、お手柔らかに頼むよ。彼女の工房はお前の部屋の近くなんだ。仲良くやってくれ。」


その一部始終を見ていたエルヴィンが苦笑いしながら、「さぁ行こう。」と二人を催促する。

今からユフィの持ち場となる工房へ案内しようと廊下へ出たところだったのだが、彼女があまりに馴れ馴れしくリヴァイにまとわりつくので、早々に堪忍袋の緒が切れた彼による躾が始まってしまったのだ。


「チッ……そもそもなんで俺の部屋の隣なんだ。」

「あぁ、突き当たりの部屋だな。持ち込む機材や設備を考えるとあの部屋が一番広くて仮の工房にするには適している。」


不機嫌を顔に張り付けたリヴァイ。

本部の2階にある彼の執務室兼自室は一番奥にあり、廊下の突き当たりの部屋は今まで使われていなかった。
静かで執務に集中できる環境だと思っていたのに、騒音など立てられたらたまったものじゃない。


「てめぇ、うるさくしたら削ぐからな。」

「…………。」


歩きながら振り返ってギロリと睨むと、未だに頭をさすりながら涙目のユフィはムスッとしてそっぽを向き、リヴァイを無視した。


「おい聞いてんのかコラ。」


躾スイッチが入りやすくなって再び掴みかかろうとしたリヴァイを制し、


「まぁ待て。ところでユフィ、君はとても若く見えるけどいくつなんだい?」


エルヴィンは和やかな雰囲気で別の話題を振った。


「……17。」

「そうか。ここでの経験はいい勉強にもなると思う。優秀な腕前の持ち主と聞いているが、さらなる技術や己を磨く機会にしてくれると嬉しいな。」


聞いているのかいないのかよく分からない無表情でユフィはエルヴィンを見上げ、こくりと頷く。

実年齢よりも幼く見えるのはその低めの身長と小ぶりな童顔、地下育ちによる言葉づかいのせいだろうか。

そうこうしているうちに新しく工房となった部屋の前にたどり着いた。

リヴァイはそのまま自室にさっさと戻って執務の続きをすることにし、エルヴィンは工房を見せた後もユフィに本部の案内をするらしかった。

(……ガキの相手は疲れるな。)

デスクのイスに深く腰かけると疲労感がグッと増した気がしたが、短く息を吐いて無理矢理ペンを取る。

ユフィは地下街出身だと言っていた。
そして地下でリヴァイを見かけたとも。

いささか気になる点があるものの、今日はもう彼女に直接顔を会わせて聞く気にはなれなかった。




****




時刻は夜の9時。
リヴァイが自室で書類へのサイン地獄に追われていると、突き当たりの部屋の扉が開閉する音が聞こえた。

今日は食事で食堂に出向く以外はずっとここで書類を片付けていたが、昼過ぎにエルヴィンによる本部の案内から帰って来たらしい音がしてからずっとユフィは工房にいたようだった。

なんとなく嫌な予感がしたが、直後それは的中する。


「リヴァイ……さん?」


ガチャリとドアノブが回り顔を覗かせたのは、新しい隣人のユフィだった。


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