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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -
風邪



「クソ……風邪なんていつぶりだ。情けねぇ。」

苦い表情で寝そべるリヴァイは自分の額に手を置いて、独り言のようにつぶやいた。

先日私が風邪を引き、なんと症状が治る前に看病してくれた恋人のリヴァイにも風邪菌が移ってしまった。

二人で彼のベッドにもぐり込んで、だるい体をもて余す。

人類最強も風邪を引くんだね、と熱で回らない頭で言うと、同じように熱のある赤いしかめっ面でデコピンされた。

「誰のせいだ誰の。」

「う……ごめんなさい。」

するとリヴァイは何かを思い付いたようにむくりと起き上がり、いきなり私の上にまたがってきた。

「こうなったら汗をかいて一刻も早く治すぞ。」

「はい?」

もしかして彼はお互い熱のあるこんな状態で事に及ぼうとしているのだろうか。
その予感は的中し、部屋着のすそから侵入してきた熱い手のひらの感触に私はびくつく。

(やばい……。)

熱でおかしくなっているのかもしれない。
頬を高揚させたいつになく扇情的な彼と、体温の高い肌同士のふれあいはどうしようもなく、体の奥にクるのだった。

はぁはぁとすぐに息のあがった私たちは体のいろんなところを絡ませ合い、揺さぶり合い、お互いの発汗を促す。

結果、次の日リヴァイだけがすっきりと完治するという不思議な現象が起こったのだった。


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