おひるのふれあい
昔から慢性的な肩こりに悩まされており、ひどいときには頭痛がして夜も眠れなくなる。
ユフィがリヴァイにそう愚痴をこぼすと、長椅子に座るよう命じられた。
「へ、兵長、もしかしてマッサージしてくれるんですか?」
振り返って後ろに立つリヴァイを見上げると、ウォームアップするように腕を回していた。
どう見ても肩こりをほぐすレベルの準備運動ではない。
途端にユフィの血の気が引く。
「ほんとお手柔らかにお願いしますよ!?」
「肩こりの治療なんてのは何よりも勢いが大事だ。ナメたことやってっから何年も治んねぇんだよ。」
(ソレあくまで持論ですよね……!兵長はそうかもしれないけど!)
体勢を戻してびくびくしていると、リヴァイの両手が両肩に乗った。
徐々に力が込められていく。すぐにユフィは顔をしかめた。
「あっ、兵長……、なにこれ、い、痛……っ!」
「あ?静かにしてろ。」
「でも……っ、初めてなので……怖いです……。」
「安心しろ。すぐに楽にしてやる。」
「でも……あぁっ、」
するとユフィの反応に変化があった。
「んっ、う……!」
「どうした、びくついてるぞ。」
「分かんないです……。体が勝手に……あぁ!」
「おら。」
「……や、ぅあ……。」
「は、嫌だと?口ではそう言ってるが本当はいいんじゃないのか?」
「そんなっ、……っ!あ!すご…いっ。んん……。」
「素直になれよ。」
「は……、き……気持ち……です……っ、」
「ふ……言えるじゃねえか。褒美をやろうな。」
「あっ!ダメです……それぇ!」
シィン、と静まりかえったお昼時の食堂。
「兵長、すごいです!肩がすごく軽くなりましたよ!」
そのときだ。
ゴン、とテーブルを拳が打つ音がした。
「お前ら今度から食堂じゃなくてどっか行ってやれよソレェ!!三十分ぶっ続けで聞かされる私らの身にもなれバカ!!」
隣のテーブルで、所用により調査兵団本部に訪れていたリコが真っ赤な顔で叫んだ。
「どうしたリコ。カッカしやがって。それにしてもユフィ、お前の肩はこり過ぎだ。よし、今夜俺の部屋に来い。なんなら肩以外もほぐしてやるよ。体のすみずみまでな……。」
「えっ、あ、はい……(照)。」
「誰かこいつらをどうにかしてくれ……。」
まさに今夜、身も心も結ばれそうな甘い空気をかもし出す二人を尻目に、リコは心底疲れた様子で額を押さえた。
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