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負けず嫌い


「おい。」
「ん?何跡部。」
「勝負だ、来い。」

部活の休憩時間に突然そう言って先輩の腕を掴む部長。
先輩はまたー!?と凄く嫌そうな顔で必死に抵抗していたが、結局部長にかなうはずがなくズルズルと引きずられていった。

「・・・。」
「どうしたんや、日吉?」

ボーっと先輩の連れ去られていくのを見ていると、後ろから忍足先輩に声をかけられた。
横には向日先輩も。

「いえ、あれを見ていただけです。」

そう言って小さくなった先輩達を指さすと、なんやまたかいなと忍足先輩が苦笑いをした。
その言葉に、またって何だよ?と向日先輩が尋ねると、岳人気になるん?と返された。

「何だよ、勿体ぶんねぇで教えろよ侑士。」

若干ムスッとした表情で言う向日先輩。
何故か分からないが、お前も気になるよな!な、日吉!と強引に同意を求められた。
俺はそれに別に、と素っ気なく返したら、ますます向日先輩は不機嫌な顔になった。

・・・まぁ、全然気になら無いと言ったら嘘になるけど。

「ま、着いていったら分かるで。」

そう言って忍足先輩は部長達の向かった方へ歩き出した。

「お前も来んのかよ。」
「・・・いけないですか?」
「まあまあ。」

結局3人で先輩と跡部部長が消えていった方へ行くと、そこにはマウンドに立つ先輩とバットを持つ部長の姿。
・・・なんだ、あれ。

「何してんだアイツら?」
「3打席勝負や。」
「3打席勝負?」
「前に球技大会あったやろ?あれで跡部、あっさり負けたんや。」
「・・・で、それが悔しくてこう部活の休憩時間に勝負を挑んでいると言う訳ですか?」
「せやで。」
「うわぁ、ほんと跡部も相当な負けず嫌いだなぁ。」
「しかし、跡部部長なら簡単に打てそうな気がするんですけどね。・・・見た限り先輩の球も遅そうですし。」
「せやねん。けどなぁ・・・」
「けど?」

向日先輩がそう言った瞬間、カキーンと小気味良い音がグラウンドに響いた。
あっ、と一斉に見ると、白いボールが綺麗に軌跡を描いて飛んでいた。
そして、




「はい、今日もスリーアウト!」




マウンドに立っていた先輩のミットの中に綺麗に収まった。

「・・・ああいう事や。」
「いや、全く分からねぇから!」
「何であんなに綺麗に打ったのに球が急降下するんですか!?」
「んー、クセとちゃう?マウンドまでの距離って、ちょうどベースラインからサービスラインの距離ぐらいやろ?やから、サーブみたいに球が落ちてしまうんちゃう?」
「「・・・いや、あり得ない(だろ/でしょ)!」」
「くそう、もう一回だ!」
「えーまたー!?もう嫌だー疲れたー。」
「帰りにハーゲンダッツ奢ってやる!」
「跡部君、すぐにバッターボックスに立ちたまえ。」


「「「テニスしろよ。」」」




(20090819)

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