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こだわりってあるでしょ?
「焼いた方がうまい!」
「絶対茹でた方が美味しいC〜!」
「何言い合ってんのふたり。」
部室に行くと、岳人とジローが何か言い合っていた。
焼く?
茹でる?
「あ、ちょうどいいところに来た。」
そう言って部室に入ってきた私と侑士のもとに駆け寄る岳人とジロー。
な、何だ何だ!?
「ウインナーは焼くよな!」
「違うC〜!ウインナーは茹でるよね!ね!」
「「・・・は?」」
「焼いた方がうまいに決まってんだろ!」
「茹でた方が美味しいに決まってるC!」
そう言ってお互い睨み合う岳人とジロー。
どうやらウインナーの調理法について揉めてるみたいだ。
しかも、お互い一歩も引く気は無いようだ。
「ちょ、ちょおふたりとも落ち着き?」
「なあ、侑士は焼くよな!」
「茹でるよね!」
「いや、だから、」
「焼くよな!」
「茹でるよね!」
「焼く!」
「茹でる!」
「だから、落ち着き!」
いつまでたっても大声で言い合うふたりに、侑士がたまらず頭を叩いた。
ふたりとも熱くなり過ぎやでと侑士が怒ると、ごめんなさいとふたりとも項垂れながら呟いた。
「でさ、実際ふたりはどっち派?」
「え?」
「だから、ウインナー。焼いて食べる?それとも茹でて食べる?」
そう言うと2人は身を乗り出して聞いてきた。
「俺は、焼く派やな。」
そう侑士が言うと、うっしゃ!やっぱり焼くよなー!と大喜びする岳人。
そしてそれと反対にがくりとジローは項垂れた。
「あ、ちなみにお前は?」
ちなみにってなんだ、ちなみにって!失礼な!
「残念ながら私、焼きも茹でもしないよ。」
「え、じゃあどうやって食べるの?生?」
いやジロー、生は無いだろ生は。
「でも他に調理法なんてあるか?」
「え、あるじゃん。電子レンジが。」
「「「・・・は?」」」
まるで理解出来ないとでも言いたそうな目で見てくる3人。
「だーかーら、電子レンジでウインナー調理するの。」
そうもう一度言うと、電子レンジってあの電子レンジ?と岳人が聞いてきた。
他にどんな電子レンジがあるって言うんだ。
「でも、どうやって調理するん?」
「え、ただお皿にのせてレンジでチンだよ。」
「でもそれじゃちゃんと火が通ったのか分からなく無い?」
「それはね、ポイントがあるんですよ!」
そう言ってビシリと指を立てる私。
少し勿体ぶっていると、早く言えよと岳人に急かされた。
ちょっとくらいお待ちなさい!
「まず、レンジに入れるウインナーの数ね。絶対2本以上入れるの。で、スイッチ入れて待つだけ。」
「・・・全然ポイントになってねぇ気がするんだけど。」
「ここからがポイントなのだよ!ただ待つだけじゃなくて、良く見る事!そして、ウインナーがひとつ爆発したら素早く取り出す!」
「え、爆発させるの!?そんなの危ないC〜!」
「まあラップとかしとけばそんな飛び散んないし大丈夫だよ。」
「でも、爆発させてしもたら美味しくないんやない?」
「お、良いとこに気が付いたね侑士。確かに爆発しちゃったのは汁とか出ちゃってちょっと美味しく無いけど、でも残ったのはその今にも爆発しそうな手前のウインナー達なわけですよ!」
つまり、ひとつは犠牲になっちゃうけど、残ったウインナー達はその爆発ギリギリの汁が沢山つまって美味しい子達になるってわけ!
「もう、すっごい美味しいんだから!電子レンジでやると!・・・って、何でそんな目で見るの3人。」
「・・・なんか、色々すげぇな。」
「・・・世の中には変わった人が居るんやなぁ。」
「・・・俺、寝てくる〜。」
「え、あ、ちょ・・・!」
結局、その日の部活中ずっと3人から何とも言えない視線で見られた私でした。
・・・何で!
(20090602)
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