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変な意地


「ちょっと侑士、そこの・・・筆取って。」
「筆なんて無いで?」
「筆みたいな役割をする、黒い字が書けるやつ、その机の上に乗ってる棒取って。」
「これか?」
「そう、ありがとう。」
「なあ岳人、ちょっと調べものしたいからそれの電源入れてくれよ。」
「それって何だよ宍戸。」
「その・・・四角い箱みたいなやつだよ。ネットに繋げられるやつ。」
「「はい宍戸言ったー!!」」
「げっしまった!マジがよ!?」
「お前ら、何してるんだ?あーん?」

部室に行くと、レギュラーのやつらが何やら不思議な会話をしていた。
宍戸が何を言ったんだ?

「あぁ、跡部か。今ね、英語禁止ってのやってるの!英語言ったら、100円罰金なんだC〜。」
「・・・くだらねぇことやってるな。」
「ちょっと跡部、聞き捨てならないな。英語喋らないのって、結構大変なんだぞ。」
「ハッ、そんなのお前らの頭が悪いだけだろ。俺様なら日本語だけでも十分話せるぜ。」
「クソクソ跡部め!馬鹿にしやがって!」
「よーし、そこまで言うならお前も強制参加だ!覚悟しろ跡部!」
「ふん、望むところだ。」


〜1時間後〜


「えー、現在ダントツのビリは・・・」
「お前だな。」
「ちっくしょい!何でだよー!」
「マ・・・補助の仕事してる時に、気抜き過ぎなんですよ。」
「今、日吉マって言ったC〜!」
「マって言うたな。」
「・・・チッ。」

コトンと箱の中に100円を入れる日吉。
フンッ、日吉もまだ爪が甘いな。

「先輩、このたまったお金、どうするんですか?」
「あぁ、そこまで考えてなかったな。どうするんだ岳人?」
「うーん、何かケーキでも買うか!?」
「「「はい、岳人言ったー!」」」
「くっそー油断した!宍戸め!」

また100円が、箱へと入れられた。

「このお金は、新しいボ・・・」
「ボ?」
「ボワボワしてる黄色い球を買うお金にあてようと思います!」
「今のは良いん?」
「・・・おまけでセーフだな。」
「「「跡部言ったー!」」」
「わーいわーい!ついに跡部が言ったー!ざまあ!」
「てんめぇ・・・。」
「ほら跡部、100円入れる。」

チッ、俺様とした事が、簡単なミスだ。
っと、ミスも言ったら駄目だったな。

「跡部、100円早く入れなよ。」
「・・・100円がねぇ。というか、小銭なんてもん俺様は持ち歩いてねぇ。」
「「「・・・はぁっ!?」」」」
「おま、何で生活してんだよ!?」
「何って、カードに決まってるだろ宍戸。」
「現金持ってへんの?」
「あぁ。」
「少しも無いんですか部長?」
「無いな。」

シーンと静まり返る部室。
・・・何だ、カードは当たり前だろ?

「じゃあ、ガチャガチャも出来ないのか?」
「ゲーセンでも遊べないC〜。」
「ちうか、自分自販機はどないしてるん?」
「自動販売機なんて使った事ねえ。」
「し、信じられん・・・。お前本当に中学生か!?」

他の奴らが、何とも言えない視線を送ってきた。
その目はなんだ!?

「な、何だよ・・・。」
「小銭を持っていないなんて・・・人生の半分損してるな跡部。」
「!!?」

人生の半分損してるだと・・・!?
この俺様が?
そんなこと・・・
そんなこと・・・


あってたまるか!!!






「で、これはなんや?」
「あーん?小銭に決まってるだろ?」
「お前は激馬鹿か!こんなに小銭どうするんだよ!?」
「うるせぇ。」
「あ、ありえない・・・。」




翌日、部室には小銭の詰まった段ボールが何個も積まれていたとか、いなかったとか。




(20081102)

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