sit in the sun | ナノ
12-2
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『おーい、まだ着かないのか?』
「・・・もうすぐで着くッスよ。」
『・・・もしかして越前、迷子になったのか?』
「違いますよ。本当にもうすぐ着きますから。」
『なら急げよー?部長怒ってるぜ。まあ、氷帝のマネージャーさんも遅刻してるみたいで、9時までは待つってよ。』
「分かりましたよ桃先輩。じゃあ。」
今日はテニス部の合同合宿初日。
合同合宿の相手は、氷帝学園。
今日は珍しく寝坊しないで、余裕で間に合うと思ったのに。
迷子になった。
氷帝って、どこだ?
普段だったら登校する生徒とかいるから、それに付いて行けば良いんだけれど。
・・・ゴールデンウィークだから、いないよな。
・・・はぁ。
ヤバいな、手塚部長に怒られる。
桃先輩にも絶対馬鹿にされる。
どうやら、先輩達はみんな揃ってるみたいだし。
あ、向こうのマネージャーも遅れてるみたいだったな。
まぁ、とりあえず誰かに道聞くのが無難か。
そんなことを考えながら、路地を右に曲がった。
どんっ
「うわっ!」
「った・・・」
道から、思いっきり人が突っ込んできた。
そして思いっきり俺にぶつかってきた。
「ごめん、急いでて前見てなかった!」
「良いッスよ、別に。」
「あ、あれ、携帯!?」
「これッスか?」
俺の足下に落ちていた携帯を拾い上げ、渡す。
ぶつかった女の人は、ありがとう!あ、良かった通話切れてなかった。と言って受け取った。
あぁ開いたままで落ちていたのは、電話してたからか。
「ごめん、人にぶつかって携帯落とした。だから、頑張って走って向かってるって!」
すると女の人は俺から携帯を受け取り電話で話しだした途端、大きな声で電話の向こうの相手に怒りだした。
「私に早く着いてもらいたいなら、電話かけてくんな跡部!馬鹿はお前だ!」
ブチッ
あ、電話切った。
てか、今この人が言った跡部ってもしかして氷帝の部長の跡部のことか?
「あんた、氷帝のマネージャー?」
「はい?」
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