sit in the sun | ナノ
11-5
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「不二〜!今日帰り暇?」
部活が終わって部室で着替えていると、英二が話しかけてきた。
「うん、特に用事はないよ。」
「じゃあさ、ストリートテニスしにいこうよ〜!」
「ストリートテニス?」
「なんか今日まだテニスしたりなくて、身体がうずうずするんだもん。」
そう言ってぴょんぴょん跳ねる英二。
ストリートテニスか・・・。
「良いよ、付き合うよ。」
「ほんと!?やった〜!」
そうと決まったら急がなきゃ!
と一目散に部室を出て行く英二を追って、僕は部室を出た。
ほんと、元気良いな。
不二〜早く〜!と急かす英二のおかげで、あっという間にストリートテニス場に着いた僕たち。
しかし、そこにはテニスをする男の子と女の子の姿が。
「どうやら先客がいたみたいだね。」
そう英二に話しかけた。
すると、今まで動き回っていた女の子の動きが一瞬止まった。
どうやら、声にびっくりして集中を切らしてしまったようだ。
邪魔、しちゃったかな・・・?
しかも男の子の方は、やる気を無くしてしまったようで、女の子を置いて帰ってしまった。しまったな・・・。
すると1人になった女の子は、とぼとぼと帰る支度をし始めた。
「良かったら、僕と試合しないかい?」
目の前の女の子が、あまりに項垂れていたので、僕はそう声をかけた。
「もともと2人のゲームを邪魔しちゃったのは僕らだし。・・・嫌かな?」
すると彼女の顔が、ぱっと明るくなった。
「全然嫌じゃないです!え、本当に!?」
「もちろん。じゃあ英二、審判よろしくね。」
テニスバックからラケットを取り出し、コートに入った。
「え〜不二ばっかりずるいにゃ〜!俺も試合したい!」
「英二、順番ね?それじゃあよろしくね。」
英二を少し睨む・・・じゃなくて、見つめると、何も反論してこなくなった。
うんうん、物わかりが良くて助かるよ。
「サーブをどうぞ。」
「ありがとう。」
さっきの動きから見て、なかなかのテニス経験者みたいだ。
さて、少しは楽しませてくれるかな?
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