sit in the sun | ナノ
11-3
仁の漕ぐ自転車に乗って、ストリートテニス場にやってきた私たち。
「良かった誰もいないや!」
ストリートテニスは結構先客がいることが多いが、今日は運良く誰もいなかった。
「さっさとしろよ。」
「わかってるよー。」
コートに入り、ラケットを握る。何年ぶりかのグリップの感触が、心地良い。
「とりあえず打ち合いってことで。」
「いいぜ、来いよ。」
「それじゃあ・・・」
頭上高く上げたボールを仰ぐ。
ラケットを振り抜くと、ボールは綺麗にコートに吸い込まれていった。
仁がすぐに追い付き、私のコートに打ち返す。
あぁ楽しい!
仁の打つボールを追いかけ、そして打ち返す。この単純な駆け引きがたまらない。
小学校5年の時に、仁と通ってたテニススクールを辞めてから1回もしていなかったから・・・4年振りか?
それだけのブランクがあるにもかかわらず、仁の攻撃は容赦ない。
やっぱり上手いな。
私がいくら逆を付いて返そうが、仁はすぐに追いついて返してくる。
ずば抜けた身体能力の高さ、抜群のテニスセンス。
さらに小学校5年生の時よりも何十センチも伸びた身長が、私を追いつめて行く。
「だあー小癪なー!」
しばらく続いたラリーは、仁の鋭いスマッシュで決まった。
普通女の子にそんなスマッシュするかぁ!?めっちゃ早かったぞ!音もすごかったぞ!
「やっぱり鈍ってるな。」
「うるさい!それはお互い様だ!」
「・・・確かにな。」
つぶやき、グリップをギュッと握る仁。
「何、またテニスに興味もってきた?」
「ちげぇよ。」
「ふーん、まあ良いや。次は負けないからね。」
「ハッ良い度胸だ。それじゃあ次は俺のサーブから行くぜ。」
「よし来い!」
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