sit in the sun | ナノ
01-5
しかし、弱ってる私に対してその言い方はいかがなものか。仮にも私は女の子だぞ!
・・・なんか自分で言って空しくなってきた。
「仁、煙草臭い」
「うるせぇ、黙れ。弱ってるやつが強がんじゃねぇ。」
「別に弱ってないもーん。」
「はっ、思いっきり涙溜めてたやつが何抜かしてんだ。」
ム、ムカつく!ムカつく仁のくせに!
なんだその減らず口!?
でも、
やっぱり仁は暖かい
背中にまわった手のひらから、熱が伝わる。
頭を付けた胸から、静かな心拍音がする。
私の心臓に、ゆっくりと溶け込む。
・・・安心する。
「あーどうせなら仁のいる山吹が良かったのに。」
「それはねーな。」
あ、また鼻で笑った。もう今日3回目だよ。
「なんで、だって仁と学校でまで一緒なんだよ、楽しいじゃん。」
「てめぇの苦手な千石もいるけどな。」
「げ、そうだ。じゃぁ良いや。学校違っても仁とはいつでも会えるしね。千石とまで毎日会うなんてやだ。」
すっかり嫌われてる千石。
ま、なんたって初対面でいきなり付き合って!とか言って抱きついてきたんだもん。拒否反応起こすわ。
ちなみに私はその後千石に鉄拳を食らわせ、それを見事に顔に食らった千石はそれはそれは綺麗に後ろへ倒れていった。どんなもんだい!
「・・・。」
「・・・。」
どれくらいそうしていたかは分からないけど、仁は私が落ち着くまでずっと抱きしめていてくれた。
怖い顔してるけど、やっぱり優しいんだよね。口には出してやらないけど!
それに言ったら絶対睨むんだよ。仁の睨んだ顔はほんと怖いんだって。
「仁、次うちに来る時は煙草吸ってこないでね。」
「俺に指図すんじゃねぇ。」
「ゲームで勝てたら、好きにして良いよ。」
チッと舌打ちをして、仁の腕が離れていった。
急に背中から熱が失われて、私は少し寂しくなった。
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