sit in the sun | ナノ

10-5


「率直に言わせていただきます。テニス部のマネージャーを辞めて下さい。」

真ん中に立っていた女の子が、凛とした声で言った。
鼻筋がすっと通った、とても綺麗な子だ。

「あの、なんであなたがそんなこと言うんですか?」

この前の女の子たちと違って襲ってくる様子がないので、私は彼女に尋ねてみた。

「申し遅れました、私女子テニス部レギュラーの上条結衣と言います。」

そう言って軽く会釈をする彼女。
物腰も言葉使いも、ものすごく上品だ。

「男子テニス部は、今まで私たち女子テニス部がサポートしていました。あなたがいなくても、何も困ることはありません。」

にっこりと笑う彼女。
つまり、私がいなくても大丈夫だから、辞めろと?

「でも、あなたたち女子テニス部の負担が軽くなるのは良いことじゃないんですか?」

上条さんの顔が歪んだ。
・・・しまった、余計なこと言っちゃったかな?

「本当に鈍いのねあなた!今まで男子テニス部と関われる唯一の存在だった私たちが、あなたが来たせいで台無しにされたのよ!?」

左横にいた女の子が大声で叫んだ。

「結衣は忍足君とすごく良い感じだったのよ!それをあなたが邪魔をして・・・!」

右横にいた子も負けないくらい声を張り上げた。

「えっと・・・つまり上条さんは侑士が好きで、私に嫉妬していると?」

カァッと彼女の顔が赤くなった。
あちゃー、図星か?




「目障りなんですよ!」




目の前の彼女が、右手を高く引き上げる。




あ、ぶたれる。




襲ってくる痛みに備えて、反射的にぐっと顔に力を入れた。






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