sit in the sun | ナノ

10-2


「映、また変な紙が入ってたんだって?」

教室に着くと、真っ先になっちがそう話しかけてきた。

「死ねブス、やて。」
「忍足、映の悪口言うやつは許さないわよ。」
「俺やないって!そう書いてあったんやって!」
「宍戸がくしゃくしゃぼーい!ってしてくれたよ。」

席に座って机の中をガサガサと漁る。
えーっと、次は世界史か。
教科書と地図帳地図帳っと。

「そう、なら良いわ。」
「心配してくれてありがとなっち!」
「どういたしまして。」

ふわりと微笑んで言うなっち。
私、なっちのこの笑顔大好き。
すごく綺麗で、私も嬉しくなる。






「映で遊んでいいのは私だけだもの。」
「はーい聞こえないよー!」

あぁ、これさえ無ければ・・・!
なんで君はそんなに腹黒なんだ!?

「腹黒じゃないわ、自分に正直なだけよ。」
「お願いだから、エスパーは自嘲してくれ!」
「まあ、半分冗談だとして、」
「(半分だけなんだ)」
「喧嘩買っちゃダメよ?」
「えーなっちまで言うのー?」

もうこの注意を聞いたのは何度目だろう。
この前呼び出しの手紙が入ってたとき、売られた喧嘩は買ってやろうじゃねーの!と叫んだら、侑士と岳人に全力で止められた。
なんでも「死人が出る!相手に!」だそうな。
失敬な!!
少しは私の心配をしろ!
まあでもそんな感じで、今までの呼び出しは全部無視してきた。
教室ではなっちと一緒にいるし、放課後は部活に行ってて1人になる時間もなかったし、今のところは何も起きていない。
あ、無視した次の日の下駄箱の中は悲惨だったな。
上履きの中に画鋲とか、土とか、生卵とか。
生卵が入ってた時は、跡部の上履きを奪ったっけ。
そしたら黒ずくめの人たちが新しい上履きくれたな。
後であの人達誰?って侑士に聞いたら、跡部んちのSPだって。金持ちめ!

「規律、礼!」

学級委員の号令で、私の思考は一旦中断した。
私は指定されたページを開こうと、教科書を手に取った。






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