sit in the sun | ナノ

09-2


「あれ、跡部帰らないの?」

着替え終わって戻ってくると、跡部が机で何か作業をしていた。

「部誌書いてんだよ。言っとくが、本来はマネージャーの仕事だからな。」
「え、まだ仕事あるんじゃん!」
「今日は特別に俺様が書いといてやるよ。明日からは自分でやりな。」
「・・・ヤな言い方。」
「あーん?」
「何でもないです。ありがとうございます。」

一応ペコッとお辞儀をしといた。

「まぁお前も今日は怪我しながら良く頑張ったからな。初日にしては上出来だ。」

フッと、今までと違って綺麗に笑う跡部。




「何だよボーッとして。」
「あ、いや、何でも無い。」

不覚にも、女子が騒ぐのも分かるな、とか思ってしまった。

「平塚先輩は、何で帰りますか?」

着替え終わった鳳君が、更衣室から出てくるとそう尋ねてきた。

「私は徒歩だよ。歩いて30分くらい。みんな電車とか?」
「俺とジロー先輩と忍足先輩は電車なんですよ。」
「それで俺と宍戸と日吉は歩きだぜ。」

声のした方を振り向けば、いつのまにかみんな着替え終わって揃ったようだ。

「跡部と樺地君は?」
「俺様は迎えの車だ。」
「く、車!?中学生が!?」
「俺様が徒歩や電車で来ると思うか?」
「しかも跡部んちの車、チョーでっかいんだC!」

そう言って興奮するジローを他所に、あんなの普通だろ、とサラッと流した。

「・・・ねぇねぇジロー、跡部っておぼっちゃま?」
「そうだよ!跡部の家もおっきいんだよ!あとベッキンガム宮殿って言われてるんだC〜!」
「あとベッキンガム宮殿!?」

なんだそのネーミング!?




ぎゃははははは!!!




「すっげーネーミングセンス!」
「だよな!平塚もそう思うよな!」
「おい、映と向日、1ヶ月コート整備やるか?」
「「すみませんでした。」」






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