sit in the sun | ナノ

08-7


「で、これがドリンクを入れるボトルだ。お前が作るのはレギュラーの分だけで良い。」
「はーい了解です。」
「ドリンクとタオルは休憩の時に1人ずつ渡しに来い。」
「はーい了解です。」
「俺様には1番に持って来い。」
「気が向いたらね。」
「てめぇ・・・。」
「さてさて、では早速ドリンク作りしますか。跡部は部活戻って良いですよ。」
「良い度胸じゃねぇか。休憩はあと10分後だ。それまでに用意してそこのかごに入れて外に持って来いよ。」
「10分!?」


それだけ言うと、跡部は部室から出て行った。
残された私は、大急ぎでドリンク作りに取りかかった。
増えるワカメでも突っ込んだろか!と思ったけど、それが侑士やジローに混ざったら可哀想だなと思って止めた。
私ってば健気!

「しかし、レギュラーの分だけって言っても、重いぞ・・・!」

8人分だから、軽く4キロは越える。
でも、ドリンクがレギュラーだけっていうのも・・・って思って、ドリンクを余計に作って大きいボトルに入れて持ってきたのが悪かったか。
いやでもレギュラーだけってなんか可哀想じゃん?頑張って練習してるのはみんな同じなんだし。

「よし、休憩だ!」
「「「はいっ!」」」
「ま、間に合った・・・!」

なんとか休憩に間に合った私は、レギュラー1人1人にボトルとタオルを渡していった。

「おい映、俺様に「はい、侑士お疲れさま。」
「映おおきに。」
「おい、「お疲れ向日君。」
「サンキュー平塚。」
「お「宍戸君、ドリンクとタオルどうぞ。」
「お、ありがと。」
「はい、鳳君も。」
「ありがとうございます平塚先輩。」
「ジロー・・・ほら寝ないで。」
「ん〜映〜?」
「・・・ここ置くよ。」
「うん・・・Zzz・・・。」
「えっと・・・日吉君?」
「ありがとうございます。」
「おおぉ!樺地君!どうぞ!」
「ウス。」
「はい跡部。」
「映、完全に俺様の言ったこと無視しやがったな!!」
「良いじゃん、渡したんだから。」
「そういう問題じゃねぇよ!」
「ああもう、私にはまだ仕事があるんだ!」
「は?」

そう言って、私は持って来たボトルのかごを抱えてレギュラー以外の部員達が休憩しているところへと走って行った。

「映、どうしたんやろ。」
「あっちは平部員の居る方だぜ?」

レギュラー専用のマネージャーがいきなり走って来たものだから、部員達は驚いて私を見た。

「これ、良かったら飲んで。ボトルが少なくてみんなの分は無理だったから、この紙コップ使って分けて飲んでね。」
「え、あ、ありがとうございます!」
「飲み終わったら、私のところに持って来てね。じゃ!」






「へぇ、映気が利くじゃん。」
「そうですね。平塚先輩を選んで正解でしたね跡部先輩。」
「どうしたの跡部?なんか睨んでるC〜。」
「・・・何でもねぇ。あと2分で始めるぞ!」

休憩が終わる前に、みんなのボトルとタオルを再びかごの中に回収し、私はまた部室へと戻る準備をした。
その時、ふと右手を掴まれた。

「痛っ!急に何、跡部。」
「良いから来い。」
「ちょっと、もう!」

そう言うなりぐいぐいと部室へと引っ張って行く跡部。
私、なにか怒らせることしたかな?・・・いや、増えるワカメは入れなかった。
バタンっと勢い良く部室に入るなり、私をソファーに座れと命令する跡部。
・・・説教かな?






「左手、出せ。」






「は、何?」
「出せっての!」

ぐいっと左手を取られ、ジャージの袖を上げられる。

「やっぱりな。」




そこには赤く腫れ上がった左手が露になった。




「いつ怪我したんだ。」
「・・・さっき転んだ。」
「言っておくが、俺様に嘘は通じねぇぞ。」
「・・・襲われて、バットを受けた時・・・。」
「お前は馬鹿か。」
「うるさい。」

骨は異常ねぇな。そう言って跡部は腫れた部分に丁寧に湿布を貼っていった。

「・・・何で分かったの?」
「俺様に見抜けねぇもんはねぇ。左手庇ってんのバレバレなんだよ。」

なんだか、ちょっと悔しかった。
不覚にも、ドキッとしてしまったじゃないか。

「・・・ありがとう。」

そう言うと、跡部は満足そうにククッと口角を上げながら笑った。






「俺様に惚れたか?」
「うるさいバカ!」

さっきと同じ台詞を言われただけなのに、何でさっきと違う感情が沸いてきたんだろう。









認めるものか
この感情は、絶対に認めないんだから





(20080719/20100601修正)

- 48 -

[*前] | [次#] | [戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -