sit in the sun | ナノ

08-5


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「映・・・映・・・!」

遠くから、私の名前を呼ぶ声がする。
ああ、この声は・・・。

「侑士?」
「うわあ!」
「うわあって、酷いな。」

体育館裏から、声のする方に顔を出してみたら、侑士にものすごく驚かれた。
失敬な!

「映、無事なん!?」
「え、あ、うん。無事だよ?どうしたの侑士。」
「どうしたやあらへん!何十人もの女子に襲われたんやろ!?」
「ああ、この子達のこと?」
「せや!って、え・・・?」

そこには、1人2人と倒れている女の子達の姿。
血を流している様子は無いので、ただ気を失っているだけだろう。

「なんか、いきなり喚かれて、襲われたんでやり返した。」
「やり返したって、この人数相手に!?」
「うん。」

いやあ、やっぱり仁と喧嘩してるだけあって、強いね私!
人間の急所を狙う遊びとかしてたからなー。
肘の裏とか、首の後ろとか。あ、危ないから良い子は真似しちゃ駄目だよ!

「もう、いきなり走り出してどうしたんだよ侑士!」
「あら、向日君に宍戸君。」
「平塚・・・どうしたんだこの後ろの残骸。」
「映が1人でやったんやて。」
「なんだそりゃ!?」
「向日君、声おっきい。」

そんなに驚くことかね?
まあ、この人数には私もびっくりしたけど、女の子ですから。
やっぱり喧嘩とか慣れてないんだろうなー。動きに無駄が多くてよ!
あ、バットだけはちょっと厄介だったけど。

「おい、とりあえず部活行くぞ。このままじゃ間に合わねぇ。」
「あ、私鞄机の上!」
「映の鞄なら持ってきてるで。ほら。」
「うわ、ありがとう侑士!」
「じゃあ早く行こうぜ!」

向日君に急かされ、何事も無かったかのように私たちはテニスコートに向かって走って行った。
その時は、痛みとか感じている余裕も無かったんだ。






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