sit in the sun | ナノ

08-4


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「待っとれって言うたのに。」
「逃げられたな侑士。」
「しゃあない、探しに行こか。映連れてこんかったらまた跡部怒るやろし。」
「めんどくさいなー。」
「まあ、そう言わんで岳人。」

教室に岳人を連れて戻ってくると、案の定、というか、映が消えていた。
だけど鞄が机の上に残ったまま、というのがどうも引っ掛かる。

・・・何もないとええんやけど。

「おい侑士、こっちいないぜ。」
「こっちもや。ほんま何処行ったんや。」

映は転入したばっかりだから、まだ校舎の中を迷子になっているのかも。と思ってくまなく探したが、はずれだったようだ。

「ああもう、激めんどくせぇ!」
「まあまあ、そう言わんと。」

途中で会った宍戸も、なんだかんだ言いながら映を探すのを手伝ってくれている。
しかし、全然見つからない。
あかん、部活始まるまで時間無くなってきた。

「それでよ、女子十何人対1人で戦ってたんだよ。」
「うわ、女子もえげつねぇな。」
「たぶんまたテニス部絡みだろうよ。跡部がどうのとか言ってたしな。」
「ほんと、女はこえーな。」

テニス部絡み?
十何人対1人?

「ちょお、それ何処であったん!?」
「おわっ!え、えっと、体育館裏です。」
「え、待てよ侑士!」
「おい、いきなりどうしたんだよ!」






俺は、アホやな。






『良い忍足、テニス部のマネージャーっていうのは、すごく恨みを買うのよ。』
『恨みって、大げさやな佐藤。』
『自分は男子だから分からないのよ、女子の怖さが。』
『まあ確かに、100人落としとるからな。』
『しかも、そのマネージャーに転入して来たばかりの映がなったのよ?いままでずっとテニス部に尽くしてきたファンクラブからは、特に反感を買うことになるわね。』
『・・・で、俺にどないしろと?』
『映を守って。教室にいるうちは私が居るから良いけど、放課後は私も部活で映の側に居れない。だから、忍足がちゃんと守ってあげてね。』
『自分、ほんま映が気に入っとんな。分かった、まかせとき。』
『ありがとう忍足。』






そう、佐藤に約束したばっかりやったのに。
最低やな、俺。




「無事でおってくれ、映・・・!」






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