sit in the sun | ナノ
07-6
「着いたぞ。」
私の必死な抵抗もむなしく、跡部達に連行されて行き着いた先は・・・音楽室?何か予想外だ。
ちなみに今はもうお姫様だっこはされてない。途中でもう逃げないと誓い、解放してもらった。
恥ずかしいからってのもあったけど、それ以上にすれ違う女の子達からの視線がものすごくて、ね。
・・・あぁ思い出すだけでも怖い!
「跡部です、失礼いたします。」
入れ、と中から声が聞こえた。
それを合図に、ガラッとドアを開け放つ跡部。
そしてその後ろに侑士が続き、私と鳳君も音楽室の中に入っていく。
「お前たちが最後だ。早く席に着きなさい。」
音楽室の中には、首に可憐なスカーフを巻く怪しげな人と、数人の生徒がいた。
「随分遅かったな侑士。」
「ちょっと色々あってな。」
ふーん。
そう言った彼と、目線が合う。
「あれ、平塚?」
おや?あのピンクのおかっぱは・・・。
「キューティー君!」
「ちげぇよ!クソクソ、やっぱりわざとだろ!」
「すまん、名前忘れた。」
ガーン!
「岳人、ドンマイや。」
ポンと侑士が肩を叩く。
2人、友達だったんだ。
「あ、映〜!」
ん?
名前を呼ばれた方を見れば、ふわふわの髪の毛。あれは・・・。
「ジローじゃん。何、君もいたんだ。」
「そうだよ〜!」
そう言って彼は私の方に飛びかかってきた。
が、今回はうまく避けれた。
「避けるなんて映酷いC〜!」
「いや、潰される身にもなってくれ。」
結構痛いんだぞ。
そりゃジローは可愛いけどさ。
でも痛いのは嫌だ!
「監督、話と言うのは何ですか?」
こっちの騒ぎを完全無視した跡部は、そうスカーフに話しかけた。
「用件とはマネージャーのことだ。昨日新しく募集で来た100人全員落としたそうだな。」
「なになに、そんなにマネージャーって人気あるの?」
「テニス部は特別だぜ。昨日来たのも単に俺たちレギュラーに近付きたいだけのヤツらばっかりだったからな。」
いつの間にか復活した向日君が、そう答えた。
「へー、テニス部って人気なんだ。」
「だって俺たちかっこいいじゃん?」
「うわ、ウザ。」
ガーン!
「岳人、ドンマイや。」
「あぁ、その事ですか。それなら心配いりません。」
こんな騒ぎすら完全無視した跡部は、そう話し出した。
そして、チラッと私の方を見た。
何か、やるのかコイツ!?良い度胸じゃねーの!やったる!!
「新しいマネージャーはこの平塚にします。」
「はいー!?」
初耳なんですが!
マネージャーって!?
何勝手に決めてるんだよ!?
「そうか。誰かは知らないが、跡部が選んだのだ。任せよう。」
「ありがとうございます。」
「ちょっと待て跡部!!」
「平塚先輩、マネージャーやるんですか!」
「マジマジ!嬉C〜!」
「いやいやいや、私何も言ってないから。」
「全員ご苦労。行ってよし!」
「って話を聞けー!勝手に決めるなー!」
「というわけだ。映、今日の放課後、部室に来い。忍足、逃がさず連れて来いよ。」
「しゃぁないな。映、諦めとき。」
「侑士ー!あああ、これはあれだ、夢に違いない・・・。夢だー!」
これは夢か、現か
確かめてやろうか?と言った彼を殴った手は、確かに痛かった。畜生現実か!
(20080707/20100601修正)
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