sit in the sun | ナノ
07-3
未だに止まない女の子達の黄色い声に、何の反応も示さない彼は、そのまま教室の中へ目線を移す。
そして、窓際の席に目をやると、そのまま歩いて来た。
「おい忍足、ミーティングやるから音楽室に来い。」
「なんや、えらい突然やな。」
「いいから、さっさとしろ。」
突然来たと思えば、侑士に有無を言わさず命令する彼。
なんとも偉そうな奴だ。朝に会った俺様そっくりだな。
目の下のほくろの位置まで同じとは・・・って、あれ?
「朝の俺様!」
「あーん?お前誰に向かってそんな口・・・って、お前!」
「やっぱり映が最初に会うたのって跡部やったんやな。」
そう言って、席を立つ侑士。
あーそうそう!跡部だこいつ!
「何だ、忍足の知り合いか?」
「転入生や。しっかし映、跡部殴ったんか。」
侑士がそう言うと、下を向いた。
いや、肩震えてて笑いこらえてるのバレバレなんですが。
「ちょうど良い、探す手間が省けた。おい映、お前も一緒に来い。」
「は!?何それ!なんであんたの言うこと聞かなきゃならないのよ!ていうかいきなり名前呼び!?」
「お前に拒否権は無いぜ。おい、樺地。」
そう言うなり、目の前に突然巨大な壁が現れた。
そして次の瞬間、浮遊感が体に走った。
「て、え、うわ!!」
「ウス、スイマセン。」
整理しよう。
どうやら、さっき壁だと思ったのは人で。
そして、その人の肩に担がれている状態だ。
「ちょっと降ろして!何すんだバカ!そして君どっから湧いて出たのよ!?」
「おい樺地、離すんじゃねぇぞ。そのまま連れてく。そして樺地は最初からいたぜ。」
「なんだってー!!?」
「映、諦めとき。」
「んな!?なっち助けてー!」
「跡部、あんまり乱暴なことしたら許さないわよ。」
きゅん。
あーなっちー!あなたは女神だ!
大好きだー!
「ほどほどに遊んでね。」
「ああ、分かった。」
ニコッと笑うなっちと、ニヤリと笑う跡部。
「こんの裏切り者ー!!ときめきを返せー!!!!」
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