sit in the sun | ナノ

06-5


「・・・なに?」
「だから、これやるって!」

そう言ってガサッと前に差し出されたのは・・・パン?

「その、お前のクリームパン潰しちまったからよ・・・。でも、もうクリームパン売ってなかったから、これで勘弁してくれよな。」
「・・・プリンパン?」

あれ、そんなパン売ってたっけ?んー、プリンパンとか売ってたら見逃すはずないんだけどなー。

「あ、なんでプリンパンがあるのかお前気になってるな?」

私が謎な表情をしていたら、おかっぱが何か得意げにそう言って来た。なんか悔しかったから、無視した。けど、向こうは構わず話しだした。

「それな、実は裏メニューなんだよ。売店のおばちゃんと仲良くなったやつだけ、買えるんだぜ!でも、今日はお前にやるよ!」

おおお、おおおおおお!!!
裏メニュー!なんて素敵な響き!
そしてプリンパン!!なんて素敵な響き!!

「きゃー!ありがとう!!おかっぱ!!」
「おかっぱっていうな!」
「じゃあキューティー君?」
「ちっげーよ!!お前わざと言ってるのか!?」
「知らんもの、しょうがないじゃーん。」
「向日岳人だよ!向日岳人!聞いたことくらいあるだろ?」
「いや、全然。」


がーん!!!


どうやら私の言葉にショックだった向日岳人は、その場に崩れ落ちた。め、めんどくさー!

「あ、いや、私転入したばっかだしさ。ごめんごめん。あーもう、ほら!」

あまりの項垂れようがうざかったので、私のプリンパンを半分あげた。ま、もらったのだけどさ。

「・・・いいのか?」
「うん、だって好きなんでしょこれ。」

そう言ってプリンパンをあげたとたん、彼の顔はまたきらきらとしだした。好きなんだなー。

「まじありがとな!えっと、」
「平塚映だよ。」
「平塚!」

もらえたことがよっぽど嬉しかったのか。
向日君はぴょーんぴょーんと再び跳ね出した。
しかし、綺麗に飛ぶなー。
まるで彼にだけ重力がないみたいに、軽々と空中に漂う向日君。
あまりに綺麗に、そして楽しそうに飛んでいるので、私は思わず見入ってしまう。






あれ、てか、ちょっとまて。
これは・・・デジャヴか?

「ぎゃあああああ!!!!!」
「平塚どけー!!!!!」









反自由落下
私たちを捉えられるものは、重力じゃなくて




(20080620/20100601修正)

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