sit in the sun | ナノ

04-5


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「ほんま、ジローのやつどこ行ったんや。」
「あーもう跡部すげぇ怒ってるよ!」
「とりあえず、手分けして探してみましょう先輩。」
「なんか最近、良い隠れ処見つけたとか言ってたぜ。」
「全く、めんどくさい人ですね。」
「まあまあ、そう言わんで。俺はこっち探すわ。自分らあっち頼むわ。」
「おう、分かった!」

今日は新入生相手に試合をしとったんやけど、ジローが逃げたきりもう3時間も帰ってこなかった。
さすがに帰ってこないことに痺れを切らし、跡部がレギュラーにジローを探すように命令して今の状態に至るっちゅうわけや。
全く、ほんまに自由気侭なやっちゃな。
帰って来たら、跡部にたっぷり叱られるでありゃ。

「しっかし、隠れ処て。」

どこに隠れたんやジロー。




「いてててて。」




ん?
なんや、どっからか声が聞こえたような。

「おろ、忍足君。」

前には、今日編入して来た平塚さんがおった。
今日はもう授業もあらへんし、部活もまだ決めてない言うてた彼女が、なんでこんな時間にここにおるんやろう。

「なんや、平塚さんやないか。こない時間までどうしたん?」
「それがですね、昼寝しようと思ったら変なことになってしまいまして。」

そう膝をさすりながら平塚さんが言った。

「変なことて?膝もどないしたん?」
「いやあ、なんかジローって子に捕まってね、膝枕したまんま私も寝ちゃって・・・。足がしびれて大変だったんだよ。」

それでもまだ寝てるから、置いて来ちゃった。
そう言って、また膝をさすっていた。






て、ちょお待ち。






「今、ジロー言うた?」
「うん、芥川慈朗。」

ガシッ!

「ひぎゃ!」
「ちょお、ジローがおるとこまで案内頼むわ!」

思わず、両手をつかんで言った。
平塚さんの肩がビクッと震えたのを見て、あ、と慌てて手を離した。

「こ、こっちだから。」

そう言って指差す方向に向かって、俺と平塚さんは走り出した。






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