sit in the sun | ナノ
30-5
それから数日が経った。
「じゃぁまた明日ね。」
「うん、また明日ー!」
なっちと途中で別れ、私は部室へと向かった。
ふとコートを見ると、なぜだか人だかりができていた。
何だろう、コートで何かあったのかな?
心なしざわついている声も聞こえる。
「お、映。」
コートに行くと、私に気が付いた岳人が真っ先に声をかけてきた。
そしてそれにつられるように、他のみんなもこっちを見た。
「どうしたの、みんな集まって・・・って、萩と宍戸がいない?」
何かあったの?と、とりあえず一番近くにいた跡部に問いかける。
すると跡部は何も言わずに、ただテニスコートを指差した。
「?」
良く分からないけど、とりあえず指さされた方向へ視線を向ける。
するとそこには、まだ部活前だというのに試合をしているふたりの姿があった。
萩と、宍戸の姿が。
「何で、ふたりが試合してるの・・・?」
「それが、俺らも分からんのや。」
そう言って肩をすくめる侑士。
ほかのみんなも同じように顔を横に振ったり、さぁと言って首を傾げていた。
どうして萩と宍戸が試合をしているのか。誰もその理由を知らないみたいだ。
「ゲーム宍戸、5-1!」
コールが鳴り響く。
萩が、負けている。
「ねえ、跡部。もし、これで萩が負けたら・・・」
どうなるの?
そう言おうとした私の声は、審判の高々と響いた声によってかき消された。
萩が6-1で負けたというコール
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