sit in the sun | ナノ

30-3


「差し入れの時間ですよー!」

コートに大きな声で呼びかければそれまで響いていたボールの音が止み、私に気が付いた2人が振り向いた。
そしてひとりが休憩にするかと言い、はいともうひとりが返事をしてこちらへやって来た。

「お疲れさま、宍戸。長太郎。」

そう言ってやって来た2人にタオルを渡す。
宍戸はサンキューと言ってそれを受け取り、長太郎はありがとうございますと言って受け取った。

「で、今日は?」

ベンチに置いてあったドリンクを飲みながら私の持ってきたお皿を指さす宍戸。
長太郎は?と不思議そうにお皿を見つめてから、あっおにぎりだと言って嬉しそうな顔になった。

「・・・それで、中身は?」
「今日はね、梅干しが3つとタラコが3つ、そして秘密が2つですよー!」

ふっふっふと笑いながら問いかけに答えれば、宍戸はゲェとあからさまに顔を歪めていた。

「あの、秘密って何ですか?」

私の言葉に不思議そうな顔をする長太郎。
すると長太郎は初めてだから分からねぇか、とため息を吐きながら宍戸が呟いた。

「コイツ、俺が夜残って自主練するようになってから差し入れでおにぎり作ってくれるようになったんだよ。」

そう言って見極めるようにジッと私の握ったおにぎりを見つめる宍戸。

「え、映先輩の手作りおにぎりを毎日ですか?」
「うん、そうだよ。調理室借りて作ってるんだ。」

そう返すと、宍戸先輩ズルい!と長太郎が言い出した。
すると宍戸があのなぁ、と眉を歪めながら

「ただのおにぎりなら良いけど、コイツの作ってくんのは中身にチョコレートだのグミだのが入ったロシアンおにぎりだぜ?」

と、盛大なため息を吐きながら言った。

「ロシアンおにぎり・・・?」
「うん、ロシアンおにぎり。」

ますます不思議そうな顔をしながらおにぎりを見つめる長太郎。
だってただおにぎり作るだけじゃ面白く無いんだもの。どうせならこう、楽しそうなもの入れたいと思うじゃない?

「で、今日のハズレの中身は何なんだよ?」
「今日のハズレは、マシュマロと宍戸の好きなミントガムです!」
「おにぎりに入れんじゃねぇ!!」
「え、宍戸ミントガム嫌いなの?」
「いや、好きだけど。」
「じゃあ良いじゃん。」
「良くねぇ!」
「文句言うなら食うな!」

そう言っておにぎりをひとつ掴んで頬張った。
全く、人が折角作ってあげたって言うのに・・・




「ーーー!!!!」
「映先輩!?」
「ああああああ!」

なにこれ!?なにこれ!!?
おにぎり食べてるはずなのに、口の中にどんどん爽やかさが広がってくんですが!?

「ミントガム来たあああぁー!!!」




ゲロ不味ー!!ぐえええええ!!!




「分かっただろ、俺の気持ちが。」
「ああああぁぁぁ!!」
「映先輩!飲み物!飲み物を!」
「ぶああああぁぁ!!!」




えっと、次からはちゃんとしたおにぎりだけを作るように致します。






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