sit in the sun | ナノ

30-2


「失礼します。」

そう言ってひとりやって来た調理室の扉を開けると、どうぞと先生が返事をした。

「すみません、今日もお借りします。」

先生にむかって頭をぺこりと下げれば、良いのよ、綺麗に使ってくれてるしと優しく返してくれた。

「それにしても、偉いわね。差し入れでこう毎日おにぎり作ってあげるなんて。」

炊き終わったお米を炊飯器からボールに移していると、そう横から声をかける先生。
これもマネージャーの仕事ですからと返せば、そんなことしてあげてるマネージャーはあなたが初めてよと言われた。
なんだか、こう素直に褒められることなんて滅多にないから恥ずかしい・・・。

「もしかして、その差し入れの彼が好きだからとか?」
「ち、違います!」

あまりに予想外な質問に驚いて、思わずにぎっていたおにぎりを落とすところだった。
しかも当の先生はあらら、そんなに慌てちゃって〜と楽しそうに笑ってるし。
あぁもう、本当にそんなんじゃないのに・・・。

「それにしても、今日はいつもより多いわね。」

お皿に並べられたおにぎりを見てそう言う先生。
確かに、ひとり分で7個は多い。

「今日はひとり分じゃないんです。」

そう言って8個目を作り終わると、お皿に乗せた。
そして後片付けをして先生にもう一度お礼を言うと、私は調理室を後にした。
今日もまた黙々と練習しているであろう彼のところへ届けるために。

「それにしても、2人分で8個は作りすぎたか・・・?」

まぁ良いか、余ったら私が食べれば良いし。




グゥーーー・・・




・・・うん、余らなくても1つ貰おう。






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