sit in the sun | ナノ
29-6
「・・・ん、」
ガタリという物音にゆっくりと目を覚ます。
というか、私いつの間に寝ちゃってたんだろ。
そして、ここは・・・?
「ごめん、起こしちゃったかな?」
優しい声のする方に目を向けると、そこには不二君の姿が。
そうだ、私青学に来てたんだ。
それで乾君に変なもの飲まされて、横になってて・・・。
「って、い、今何時!?」
「6時だよ。」
「部活は!?」
「もう終わったよ。」
ああああなんてこったい!
他所様の学校で寝ちゃうなんて!
あげくの果て部活終わるまで爆睡って・・・!
「もしかして不二君、私が起きるの待ってた、とか・・・」
ごにょごにょと口ごもりながら尋ねると、まあねと笑って返された。
ああああなんてことを・・・!
「ごめんね、ほんとごめんね!」
「良いんだよ、元はと言えば乾汁を飲んだせいでこうなったんだし。」
「でも、こんな遅くまで・・・他の人も帰っちゃったのに・・・。」
「付き添いで残らせてくれって、僕から他のみんなにお願いしたんだよ。だから気にしないで。」
「うう、でも・・・。」
それでもやっぱり申し訳なくて、思わず顔を伏せてしまう。
すると、ぽんぽんと頭に優しい感触。
顔を上げると、柔らかく笑いながら私の頭を撫でてくれる不二君の姿が。
「不二、君?」
「僕が映ちゃんと一緒に居たかったんだ。それじゃ、駄目かな?」
「ーーー!」
あまりのストレートな言葉と瞳に、思わず言葉が詰まる。
「ふふ、顔真っ赤。」
「ふ、不二君のせいだよ!」
恥ずかしさを紛らわす為にキッと不二君を睨んでみる。
けど不二君には全然効いて無いみたいで、いつものような笑顔で返されてしまった。
「不二君、意地悪だ・・・。」
「ごめんごめん、映ちゃんが可愛くてつい、ね。」
「っだから!そう言うのが!ーーーっあぁもう!」
どうしてそんな、か、か、かか、可愛いとか、恥ずかしい台詞をサラリと言うかなぁ!
普段そんな、か、かか、可愛いとか言われる事ないし・・・てか、そもそも女の子扱いされる事なんて滅多にないから余計に恥ずかしい。
ああもう、穴があったら入りたい・・・むしろ穴を掘ってでもどこかに隠れたい。
「映ちゃん?また具合悪くなった?」
体育座りをして顔を埋めていたら、上から不二君が心配そうに声をかけてきた。
まあ、ある意味具合悪くなったで合ってるような・・・。
「いや、嘘嘘。もう治ったよ。」
そう言って笑うと、良かったと言って不二君も笑った。
「じゃあ、帰ろうか。送って行くよ。」
「え、良いよ!ただでさえ遅くまで残っててくれたんだから!」
これ以上不二君に迷惑はかけれない、そう思って慌ててガバッとソファーから立ち上がる。
と、いきなり立ち上がったせいか、激しい立ちくらみに襲われた。
「っ、」
「映ちゃん!」
あ、倒れる。
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