sit in the sun | ナノ

29-4


「あれ、映ちゃん!?」
「や!久しぶりー英二!」

乾君に迎えに来てもらってテニスコートに着くと、真っ先に私に気が付いた英二が大きな声で私を呼んだ。
そしてその声に周りにいたみんなも気が付いたのか、こちらを振り返った。
や、そんなみんな一斉に見ない下さい。わ、私は見せ物じゃないんだぜ!

「今日はどうしたんだい?」
「監督に頼まれて、竜崎先生に届け物しに来たんだ。」

そう答えると、わざわざお疲れさまと不二君が笑って言った。
あー、やっぱり不二君は優しいなぁ。

「だからそろそろ帰ろうかなって・・・」
「え〜!映ちゃん帰っちゃうの〜!」
「そう思ったんだけど、乾君の頼み事を聞く事になってね。帰れなくなっちゃった。」
「あ、そうなの?良かった〜。」

そう言ってそのままぴょんと飛びついて来た英二を華麗に避けると、じゃあ早速頼み事を聞いてもらおうかなと乾君が切り出した。

「ところで、その頼み事って・・・」

チラリと乾君を見ながら聞くと、フフフと笑いながら眼鏡がキラリと光った。
こ、怖いよー!




―――――――――――――――


「なぁ、今日どっか寄ってかねぇ?」

いつもより早く部活が終わって部室で着替えていると、いつものように岳人が尋ねて来た。
ええで、と俺が答えると、俺も大丈夫だよと滝や鳳も返事をした。

「で、どこ行くん?」
「んー・・・あ、ストリートテニス行かねぇ?」
「ストリートテニス?また珍しいなぁ。」
「あそこのストリートテニス、青学に近いだろ?」
「あぁ、確かに。」
「だから、あそこ行けばついでに映と合流できんじゃね?」

岳人がそう言うと、あぁ成る程ねと納得するみんな。
なんや岳人にしては賢いやん。

「みんな行くだろ?」

そう言って岳人が部室にいるみんなに確認すると、俺はパスと宍戸が言い、続いて日吉も俺は良いですと言った。
ジローは・・・あら無理やろ。ソファーで死んだように眠っとる。

「じゃあ、岳人と俺と滝と鳳、あと跡部と樺地やな。」
「あん?なんで俺様が数に入ってるんだ。」
「行かへんの?」
「行かねぇとは言ってねぇよ。」

そう吐き捨ててバタンとロッカーの扉を閉めると、おいお前らさっさと行くぞと言って部室から出て行く跡部。

「・・・なんや、自分が一番映を迎えに行くの張り切ってるやん。」
「侑士、何か言ったかー?」
「いや、何でもあらへん。」

俺もロッカーの扉を閉めると、前を歩く岳人に続いて部室を後にした。






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