sit in the sun | ナノ

03-3


「まあまあ、それぐらいにしてやれ。」

た、助かった山城!グッジョブ!

「それじゃあ、平塚の席はあの空いてる席な。」

そう言って山城先生に指さされた席は、窓際の1番後ろだった。
やった、良い席!
そう思ってうきうき気分で席に向かう。
が、なんか・・・視線が痛い。しかも女子からの。
・・・なぜ?なぜそんなに睨んでくるの?そんなにみんな窓際が良いのか?
疑問は残るけど、ひとまずボーッと立ってるわけにもいかないので自分の席に行き、机の横に鞄を引っ掛けて座る。
すると、よろしくねと隣の席の女の子に声をかけられた。こちらこそ、と返すと彼女はふわりと笑った。ものすごく美人な子だなぁ。

「私、佐藤奈津紀。なっちって呼んでね。」
「あ、私平塚映!」
「さっき自己紹介してたじゃない、分かるよー。」

あはは、おかしいのーと笑われてしまった。はは恥ずかしい。

「じゃあ、映って呼ぶね。良いかな・・・?」
「もちろん!よろしく、なっち!・・・ところであのさ、窓際の席って、人気あるの?」
いきなりそんな質問をしたもんだから、なっちの頭にはハテナマークが綺麗に浮かんでいた。

「あ、いやあね。この席に着くまでに、沢山の女子に睨まれましてね。」

本当、まったくもって謎だ。席に着いた今でもまだ鋭い視線がこう・・・。
するとなっちが、ああそいういうことか、と納得していた。

「たぶん、窓際がじゃなくて、彼の後ろの席だからだよ。」

そういって、私の前の席を見た。私も前の席を見たが・・・誰も座っていない。

「・・・誰も座ってないけど。」

誰もいない席の後ろが良いのか?
・・・謎。

「あ、今2年の教室に忘れ物しちゃったとかいって出て行ってるよ。」

あー、廊下であった人か!
・・・全然覚えてねー。

「すんません、遅なりました。」

ガラッと扉が開いたと思ったら、タイミング良くさっき忘れ物を取りにいった人が帰ってきた。

「なんだ、そのまま2年生に混ざって授業受けてるのかと思ったよ。」
「ひどいわ先生。ちょっと探すのに手間取ってな。」

独特の関西弁を話す彼は、先生と楽しい漫才を繰り広げていた。
そして彼は、私の前の席に歩いてきた。
彼が、みんながうらやましがる原因?なんだろ、なんかすごい技でも隠し持ってるのかな?
そんなことを考えていると、彼は椅子の背もたれに手をかけ席に座った。
そしてくるっと私の方を向いた。






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