sit in the sun | ナノ

28-2


え?テニス部の私たちが、なぜこんなことをしているのかって?
それは、今日が氷帝学園恒例の球技大会の日だからです!
3年生の今年の種目はソフトボール。そして私のクラスはただいま宍戸のクラスと対戦中!というわけです。
で、さっき私の投げた消える魔球が宍戸に打たれ、4-3と1点リードされた状態で9回の裏の攻撃になったわけです。

「どうよこの分かりやすい説明!」
「いや、誰に説明しとるん?」
「そこは突っ込まないでおくれ!」
「そんなことより映、言わなくちゃいけないことあるんじゃないの?」
「え?言わなきゃいけないことなんか・・・」
「映?」
「消える魔球とか調子乗ってすみませんでしたー!」

全力で謝ると、まあ良いわと言ってなっちが大きなため息を吐いた。
こ、怖かったー。
てかなっち、バットを置いてくれ。
凶器にしか見えないから頼む置いてくれ。

「こんな軽いバットで殴ったりしないわよ。」
「ごめんなさい本当にごめんなさいだからバット持ち上げないで振り上げないで!」
「ストライク、バッターアウト!」

私となっちがこうしている間に、早くも私のクラスはフライと三振でツーアウトになってしまった。
あぁ、次が最後の打者になっちゃうのかなぁ。

「次の打席誰ー?」

聞こえてきた声に、私は違うよとか俺じゃないぜとみんなが返事をする。
あれ、それじゃあ誰だ・・・?

「私よ。」

声のした方を向くと、なっちがヘルメットを被ってバッターボックスへと歩いていくところだった。

「なんだ、最後は佐藤かよ。」

キャッチャーマスクを被りながら宍戸がなっちに話しかける。
宍戸め、ホームラン打ったからって調子に乗りよって!ムカつく!
ちょっと女の子達から「宍戸君ーかっこいいー!」言われたからって調子に乗りよって!ムカつく!

「なっちーそんな調子乗ってる宍戸なんかやっつけてー!ホームラン打っちゃってー!」

私が叫ぶと、なっちはこっちに視線を向けにこりと笑った。
そして

「私が最後になるかどうかは、まだ分からないでしょ?あとあまり調子乗らないことね。バットが滑って思わずどこかに飛んでっちゃうかもしれないから。」

と、笑顔のまま宍戸にそう言い放った。
・・・なんか黒いものが背後で渦巻いていたように見えたのは、気のせいだということにしよう。






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