sit in the sun | ナノ
27-3
「・・・ん?」
昼を食べようと跡部とジローと樺地と歩いていると、どこからか馴染んだ匂いがした。
この香りは・・・
「ごめん、ちょっと先行ってて。」
「どこ行くんだ?」
「すぐ戻るから!」
「おい、映!」
待て!と跡部の声がしたけど、すぐ戻るから!ともう一度叫んで私は走った。
匂いが近くなる。
間違い無い、この漂ってきてる煙は・・・
「仁!」
仁の吸っている煙草の匂いだ。
「あ゛?・・・んだ、映かよ。」
そう言って空きコートで堂々と煙草を吹かす仁。
足下には吸い殻と、どこの学校かは忘れたけど選手がぐったりと何人も倒れていた。
・・・この光景を見ただけで、何が起こったのかが目に浮かんでくるよ。
「あんたね、こんなとこで何してんのよ。」
「別に何でも良いだろ。」
「いや、良くないし。次、決勝戦あるでしょ?」
そう言うと、ハッと鼻で笑って煙草を踏みつぶした。
っておい仁!
ここ、コート!
「ちょっと、ちゃんと吸い殻拾いなよ。」
「うるせぇ、俺に命令すんじゃねぇ。」
「拾え。」
「うるせぇ。」
・・・。
「モンブラン・・・。」
ぼそりと魔法の呪文を唱えてみた。
すると、仁は舌打ちしながら自分の吸い殻を拾いはじめた。
・・・ぶふふ。
「そういえばさ、」
「あ?」
「仁はどうしてまたテニス始めたの?」
そう言うと、はぁ?と眉をひそめながらこちらを見る仁。
だって、気になるじゃん?
あんなにテニスなんてつまらねぇって言ってたのに。
急にテニス部に入って、しかも試合にまで出るなんて。
可笑しい、絶対可笑しい。
「お前が・・・」
「え?」
「んでもねぇよ。」
それだけ吐き捨てると、仁はラケットを掴んでさっさと行ってしまった。
後を追いかけようか迷ったが、ちょうどお腹がぐうと鳴ったので跡部達と合流する事にした。
「あーお腹空いた。って、私のお昼は!?」
「知らねぇよ。」
「ひ、ひっどー!ジローはちゃんと待っていてくれ・・・」
「え?」
「無かったー!」
ジローもガッツリお弁当食べ終わってたー!
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