sit in the sun | ナノ

26-5


「やっぱりおったか。」
「え?」

ひとりでコート裏の草むらを探していたら、後ろから声をかけられた。
真っ暗で顔は全然見えない。けれど、誰だかはすぐ分かった。

「侑士、どうして?」
「それはこっちの台詞や。今日はもう暗いから、明日にしよう言うたやろ。」
「そう、だけど・・・。」

なんだか気まずくて下を向くと、はぁとため息が聞こえた。
怒られる・・・かな。
勝手すぎるとか、我が儘だとか、思われただろうな。

「映!」
「はいっ!」

いきなり名前を呼ばれて反射的に顔を上げると、にこりと笑った侑士と目が合った。

「さ、早よ探すで。」

そう言って、優しく頭を撫でる侑士。
驚いてぼーっとしてると、おーいやっぱりこっちは無いぜー!って声が聞こえた。
この声って・・・

「岳人!?」
「よっ!」
「俺らもいるぜ?」

後ろを振り向けば、すぐ後ろには宍戸とジローと長太郎の姿も。
え、待って。何で、みんな居るの・・・?
だって私、学校に戻るなんて一言も言ってないのに・・・。

「それだけあなたの考えは分かりやすいってことですよ。」

ひとつの影がまた、暗闇から現れた。

「若・・・。」

どうして学校に居るのよ。
先に帰ってって言ったのに。
まさか、若が私が学校に戻ったのみんなに知らせたんじゃ・・・

「言っておきますけど、俺は誰にも先輩が学校に戻ったと連絡してませんよ。」
「え?」

まあ、ひとりだけ電話がしつこかったんで言いましたけど。
若がそう言った瞬間、パチンという音と共に照明が一斉に光った。
眩しい・・・!
その場に居たみんなが突然夜中から昼間に変わったコートに目を眩ませていると、光の中心から凛とした声が。

「タイムリミットは1時間だ。それ以上は俺もどうしようも出来ねぇからな。」
「あ、跡部・・・。」
「またやる事が派手やな。」
「どうしたんだよ、この照明。」
「ハッ、俺様の力を甘くみんじゃねぇぞ。」

岳人の質問に、ふんと偉そうに答える跡部。
・・・生徒会長兼部長の権力を乱用したんだろうか。
いや、でもそんなこと普通なら・・・

「跡部ならやるな。」
「間違いなくやりますね。」

宍戸と長太郎の意見に、うんうんとみんなが頷いた。

「・・・聞こえてるぜ、宍戸に鳳よぉ。」

ピクリと青筋を立てながら話す跡部。
あーあー、跡部怒らせちゃったー。
私、知らなー・・・

「長太郎、コート探しに行くぞ!」
「はい!」


えー!!?


「ちょ、宍戸!長太郎!?」

・・・逃げた。
ものすごい勢いで走って逃げた。
しかも他のみんなもどさくさにまぎれて走って逃げた。
残された私、ひとり。




・・・えー!!?




「えーと・・・私は倉庫に探しに行こうかなぁー。」
「俺様も一緒に探してやるぜ。」
「え!?いや、その、えっと・・・」
「樺地は部室探して来い。」
「ウス。」
「オラ、行くぞ映!」
「ウ、ウス・・・。」




みんな、覚えてろよ・・・。






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