sit in the sun | ナノ

26-4


「・・・結局、見つかりませんでしたね。」
「うん・・・。」

すっかり暗くなった道を歩く私と若。
あれから1時間あまりみんなで探したが、結局石は見つからなかった。
私は見つかるまで学校に残ると言ったのだが、これだけ暗くなったら探すのはもう無理だと言う跡部の意見で、また明日探す事になったのだ。

「明日、見つかりますよ。」
「お・・・おぉ・・・。」
「・・・何ですか。」

若が励ましてくれてる・・・。
優しい言葉かけてくれてる・・・!

「珍しい!」
「失礼ですね。」
「明日は雨かな!」
「・・・。」
「ご、ごめん嘘嘘!だからそんな構えないでよ!」

素直に謝ると、はぁと大きなため息を吐かれた。




―――――――――――――――




「・・・ごめん、若。」
「え?」

もうすぐ映先輩の家に着くという時になって突然、映先輩が口を開いた。
ごめん、若・・・?いったいどういう・・・

「ーーー先輩!」

俺がその台詞の意味を考えつくより先に、映先輩は突然走り出した。
それも家とは逆方向、今まで歩いてきた方へ。

「やっぱり私、もう一回探してくる!」
「映先輩!」
「若はそのまま家帰って!ごめんね!」

俺の呼び掛けに一度だけ振り返ったが、結局そのまま止まることなく先輩は走り去ってしまった。
唖然と立ちすくむ俺。
これだけ暗いんだ、探せるわけがない。全く、どこまで馬鹿なんだあの人は。
だけど呆れる一方で、何故だか頬が緩んだ。
どこか、こうなることをやっぱりなって。
そう思ってる自分がひどく可笑しかった。




そしてたぶん、この人も同じだろうな。




「もしもし?」

さっきから五月蝿く振動していた電話に出ると、聞こえてきたのは予想通りの声。

「えぇ、やはり学校に走って戻りましたよ。・・・はい、分かりました。」

電話の主の反応もあまりに予想通りすぎて、俺はまたひとり笑ってしまった。






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