sit in the sun | ナノ

26-2


「・・・無い。」

違和感の正体が、分かった。




ーーー無くなってる。




もう一度鏡を覗き込んでも、やっぱり無い。
手で触っても、やぱり無い。
無い、無い、無い、無い・・・・






「なーーーーーい!!!!!」






「な、なんだなんだ!?」
「どないしたんや映!」
「無いっ!無い無い無い無い!!」
「何が無いんだよ!?ってお前馬鹿!!」

私の大声に驚いたのか、ものすごい勢いで扉を開けた岳人と侑士。
だけど開けたと思ったら、いきなり岳人がバタンと扉を閉めた。
な、何故?

「おおおお前!ワイシャツちゃんと閉めろよ!」
「・・・あ。」

そう言えば、まだ着替えてる途中だったっけ。
ふと自分を見ると、ワイシャツの前が完全に開いてた。
・・・あはは、下着見えてら。

「ごめんねーもう大丈夫だよー。」

そう言ってそろりと扉を開けると、真っ赤になった岳人にくそくそ、気をつけろよな!って言われた。

「ま、良いもの見れたから良いじゃん?」
「それ女の子の言う台詞やあらへんで。」

はぁ、と若干耳が赤くなってる侑士に突っ込まれた。
・・・あはは、どうやら前に居た岳人だけじゃなくて侑士にも見られたみたいだ。

「それで、どうしたんですか映先輩?」

心配そうに尋ねてくる長太郎に、そうだよあんな大声出してと宍戸が言ってきた。

「あぁ、そうだ!無い!無いの!無くなったの!」
「何がねぇんだよ?あーん?」
「これ!これだよ!」

そう言って、右耳をみんなに見せる。

「・・・耳ならついてるよ?」
「うん、違うよジロー。耳ついてるのは分かってるよ。」
「じゃあなんだよ?」
「ちょ、跡部これ見て分かんないの!?これだよこれ!」

そう言って、もう一度みんなに右耳を見せる。

「・・・全く分からねぇ。なあ、樺地?」
「・・・。」
「樺地?」
「・・・ピアスに付いていた、蒼い石が、無くなってます。」
「「「え?」」」
「わーい樺地正解!!」
「ウス。」

さすが樺地!私のお義父さん!良く分かってらっしゃる!

「いや、そのネタ樺地には分からんやろ。」
「良いじゃん別に。ね、樺地!」
「・・・?」
「ほら、樺地も困ってるやん。」
「えー困ってないよね?ね!」

侑士と樺地を挟んで言い合っていると、いい加減にしやがれ!と跡部に怒鳴られた。

「もう、最近跡部怒鳴り過ぎじゃない?禿げるぞ。」
「テメェのせいだろうが!」
「イダダダダ!暴力反対!」
「うるせぇ!」






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