sit in the sun | ナノ

25-3


「映、ちょっと良いかな?」

昼休み、突然の来訪者に驚きながら私はなっちと侑士にちょっと行ってくるねと言い残して彼の後をついていった。
何も言わない彼の後ろ姿を見ながら、私も何も言わないで歩いた。
ふと中庭で彼が足を止めてこちらを向いたので、少し離れたところで私も止まった。
すると、そんなに身構えなくても良いのにと彼がふわりと笑った。
その言葉に、私も緊張を少し解いて彼の座ったベンチの隣に腰を下ろした。

「・・・それで、話って何?」

チラッと彼の顔を見ながら問いかけると、彼も私の方を向いた。

「映はさ、本当にそう思っているの?」
「思ってるって・・・何が?」

彼が言いたいことは大体予想がつくけど、一応そう返事をした。

「部室で、跡部に言ったこと。」
「・・・やっぱり、聞いてたんだ。」

そう言って萩を見ると、不可抗力だったんだよと言って苦笑いをしていた。

「映は、俺がレギュラーになったの、気に入らない?」
「それは違う!萩がレギュラーになったのに、反対だなんて思ってないよ。萩が一生懸命練習してる姿、ずっと見てきたし。正当な結果だと思ってるよ。」
「じゃあ、どうしてそんなに宍戸のレギュラー落ちを反対するの?」
「それは・・・。」
「負けた相手が、橘だったから?全国プレイヤーだったから?」
「!」

まさしく、だった。
萩が言った言葉は、まさしく私が監督に訴えてる言葉だった。




ーーー敗者切り捨ては分かります!けれど、その相手が全国プレイヤーの橘だったんですよ!?
もう一度、宍戸にチャンスを与えてやって下さい!




「けどさ、それって宍戸に凄く失礼な言葉だと思わない?」
「え?」

ふと隣を見ると、先程までの柔らかい笑顔は消えて真剣に私を見据える萩が、そこには居た。






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