sit in the sun | ナノ

25-2


「・・・あ、なんだふたりともまだ居たんだ。」
「萩・・・。」

部室に入ってきたのは、宍戸の替わりに準レギュラーから正レギュラーに昇格した滝萩之介だった。
私たちの何とも言えない空気を察したのか、少し気まずそうな顔をして跡部と私を交互に見た。
どうしたんだと跡部が問いかけたら、ちょっと忘れ物を取りにきたんだと言って奥の更衣室へ向かった。

「ロッカーに今日使う辞書置いてきちゃってさ。・・・あ、あった。」

そう言って、ついこの間まで宍戸のロッカーだったそれから辞書を出して私たちに見せる萩。
そして私と跡部をもう一度見て、お邪魔だったかな?と少し苦笑いしながら言った。

「いや、もう話は済んだ。」
「ーーー!」
「映?」

萩の呼びかけを無視して、私は部室を飛び出した。
話は済んだと言い放った跡部に、なんだか無性に腹が立ったから。
まだ話は終わってないはずなのに。何でそんなことを言うの?

「やっぱり、跡部になんか言わなきゃ良かった・・・。」

また目頭が熱くなってきて、それを振り払うように教室まで必死に走った。
廊下で先生に怒られたけど、無視して走った。
今走るのを止めたら、溢れるものを我慢できない気がして。

「映?」
「あ、おはよう、なっち。」
「どうしたの、そんなに息切らして。」
「いや、授業、間に合わないかなって、思って。」
「そう?全然余裕よ。」
「なら、良かった。」

そう言って自分の席に着いた。
乱れた呼吸を整えると、侑士がこっちを振り返って私を見た。

「跡部、何て?」
「ううん、大したことじゃないよ。」

笑いながらそう返すと、ふーんと言ってそれ以上は何も聞いてこなかった。






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