sit in the sun | ナノ

24-5


「遅ぇ、映。」
「あ、ごめん。」

私がコートに着くと、もうダブルス2の試合が始まっていた。


不動峰・・・。


胸に何か、嫌な予感が渦巻く。
さっき越前君に言われた言葉が、蘇ってくる。






「不動峰、強いのは名前だけじゃないッスよ。」
「・・・どういうこと?」
「舐めてかかると、負けますよ。」
「それって・・・」






結局、それ以上越前君は何も言わなかった。
舐めてかかると、負けるって?氷帝が?
そんな、だって相手はデータも何も無い初出場校だよ?
別に軽視するつもりはないけど、でも・・・。

「ゲームアンドマッチ、不動峰!」

ハッと我に返った時には、ゲームが終わっていた。
ダブルス2、不動峰勝利で。
そしてそのまま、ダブルス1も・・・。

「嘘・・・。」

信じられない。
氷帝が、ダブルスで連敗だなんて・・・。

「んなしけたツラしやがって。激ダサだぜ平塚?」
「し、宍戸・・・。」
「俺が、きっちり勝ってきてやるよ。」

よっぽど不安そうな顔をしていたのか。私を元気付けようとしたのかそう言うと、宍戸はぽんと私の頭を軽く叩いた。

「・・・。」
「何だよ?」
「・・・良いよ、宍戸はそれが素だって分かってるから。」
「は?意味分かんねぇ。って、少し顔赤いぞ?日に当たり過ぎたか?」
「もー、良いって!早くコート行け!馬鹿!」
「はぁ!?んで馬鹿って言われなきゃなんねぇんだよ!」
「おい、無駄話してないでさっさとコート行け。」

そう跡部に言われて、宍戸はコートへと向かった。
何か納得いかないみたいで、ブツブツ文句を言ってたけど。

「・・・宍戸ってさ、」
「ん?」
「・・・いや、何でも無い。頑張れー勝てー!!」

跡部は不思議そうな顔してたけど、コートへと視線を移した。
同じように私もコートへと視線を移すと、20分で終わらせてやるぜ、なんて宍戸が豪語していた。
わぁ・・・すごい自信。
・・・宍戸らしいな。
思わず笑いがこぼれた。
胸に渦巻いていた不安が、少し軽くなった気がした。

「頑張れ、宍戸・・・!」






だけど待っていたのは、目を疑いたくなる現実だった。






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