sit in the sun | ナノ

24-4


「氷帝対辰巴台東、3-0で氷帝の勝利。」
「「「ありがとうございました。」」」

驚いた。
いや、まさか本当に3-0で勝っちゃうなんて。

「フンッ当たり前だろ?」

偉そうに腕組みしながら言い放つ跡部。
いや、跡部は試合してないから。威張るところじゃないから。
今試合で戦ったのは準レギュラーの4人と、宍戸だし。
でもなんか突っ込むのも面倒なので放置です。

「で、次の試合会場はあっち・・・と。ん?」
「どうした映?」
「いや、なんかあっちのコート盛り上がってるなって。」

そう言うと、ぞろぞろと次の試合会場へ歩いていたみんながコートを見つめた。

「あーん?あのコートは・・・なんだ、青学じゃねぇか。」
「ちょっと見ていこうよ!まだ時間あるでしょ?」
「ってもう行ってるじゃねぇか!まだ良いって言ってねぇ!」
「まあまあ、良いじゃねぇか跡部。」
「ッチ、おい行くぞ樺地。」
「ウス。」

コートに近寄っていくと、不二君が試合をしていた。
そして、ちょうど決着がついたところだった。
一足遅かったか、残念!
試合見たかったのになぁ。

「・・・氷帝。」

そんな事を考えていると、ふと後ろから声がした。
そして振り向いた先には、木に寄りかかる少年の姿が。
・・・あれ、あの少年は、

「越前君?」
「・・・平塚先輩?その鼻頭どうし「やっぱり!わー久しぶり!」
「ッス。」

そう、そこに居たのは青学の越前君だった。
何か私の顔(というか主に鼻)を見て驚いた顔をしていたけど、気にしない気のせい!

「青学、順当に勝ち進んでるみたいだね!越前君も試合したの?」
「さっきしたッスよ。」
「そっかー見たかったなぁ。」

この間の合同合宿では越前君は練習試合してなかったから、すごい気になってるんだよね!
1年生でレギュラーになったんだから、強いんだろうなー。
どんな試合するんだろうなー見たいなー!

「・・・じゃあ、今度遊びに来れば良いじゃないッスか。」
「え、本当!遊び行って良いの?」
「この次の準決勝と決勝まで日数空くから、たぶん校内で練習試合とかすると思いますよ。その時に来たら良いんじゃないッスか?」
「・・・おおぉ!見たい見たい!・・・あ、でも、私氷帝テニス部のマネージャーだよ?行って良いものなの・・・?」

さすがに他校のマネージャーが行ったら・・・まずいんじゃないかな?
合同合宿とはまた違うし。

「そうだな、代わりに1日マネージャーの仕事をしてくれるなら、俺は歓迎だよ。」
「わ!びびびビックリした!乾君かぁ・・・脅かさないでくれよ。」

突然後ろからにゅっと現れた乾君。
相変わらず逆光で眼鏡が光ってます。

「ただ見に来るだけじゃなくて、臨時マネージャーって名目があれば手塚も納得してくれるんじゃないかな。それに、平塚さんにうちのデータが取れるほどの頭脳はないと思うし。」
「うわ、さりげなく酷い事言うね乾君。まぁ・・・考えておくよ。」

そう言うと、おい映!さっさと行くぞ!と跡部に遠くから怒鳴られた。

「あ、はーい!ごめんね、長話しちゃって。」
「別に、イイッスよ。」
「氷帝の次の試合は確か・・・不動峰だったね。」
「あーうん、確かそんな感じの名前だった。強そうな名前だなーって覚えてたから。」
「強そうな名前・・・ね。」
「去年までのデータファイルに載ってなかったからさ。初出場なのかな?ま、頑張ってくるよ!じゃあね!」

越前君と乾君にそう言うと、先に行ってしまった跡部達を追って私は走り出した。
すると、越前君に平塚先輩!と大声で呼び止められた。
何かと思い振り返れば、そこには真剣な表情の越前君が私を見ていた。






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