sit in the sun | ナノ

24-2


「ちょっと滲みるで?」
「ーーーッイ!!!」
「我慢我慢。・・・よっしゃ、これでバッチリや。」
「うー、ありがと侑士。」

どう致しまして、と言いながら救急箱を手早く仕舞う侑士。
やっぱり医者の息子というのは嘘じゃないみたい。慣れた手つきで私のケガの手当をしてくれた。

「ごめんね映〜。」

しゅん、と横で項垂れるジロー。
宍戸と岳人に怒られて、若干へこみ気味だ。
私を捕まえようと追いかけてきたまでは良いが、勢い余ってタックル&スライディングしちゃったからね。
ナイスタッチダーウン!ってね!
いや、でもスライディングしたのが芝の上だったからまだ良かったけど、これコンクリートの上だったと思ったら・・・ヒィー恐ろしやー!
でもま、結果的にちょっと擦っただけで大したケガじゃなかったし。

「大丈夫だよジロー。そんな気にしなくて良いよ。」

あまりにもジローがへこんでるから、ぽんぽんと頭を撫でると、にこっといつのも笑顔に戻った。

「しかし、たいした怪我じゃなくて良かったな!・・・ブ、ククク。」
「ほんま、そんだけの怪我で済んで良かったで。・・・クククッ。」
「・・・何か言いたい事でもあるのかな?君たち。」
「いや、別に何にも無いよな侑士・・・ククク。」
「せやで、何でもあらへんで・・・ククク。」

そう言って、小刻みに肩を振るわす岳人と侑士。
そしてその様子をジロリと睨む私。
そしてその様子を見る残りのメンバー。

「・・・若、そんなじっと見つめて私に惚れ直した?」
「馬鹿言わないで下さい。第一、惚れ直したって言葉は一回惚れてる事を前提に言う事ですよ。」
「え?若私に惚れてるの?」
「あなたは馬鹿ですか。どうしたらそう言う事になるんですか。」
「だってじっと見てたじゃん。何?」
「・・・別に、鼻頭のガーゼ良く似合ってるなと思っただけですよ。」




・・・ップ、




「ギャハハハハハハハ!あー駄目だもう無理!!ギャハハハハハハハ!!」
「ちょ、日吉それは言うたらあかんって・・・アハハハ!」
「平塚、その鼻頭は激ダサだぜ?ハハハハハ!」
「ッククク、似合ってるぜ映。」
「先輩方、映先輩に悪いですよ・・・!」
「良いよ長太郎、我慢しなくても。逆に傷つくので声に出して笑ってくれ。」

私の目の前で、大笑いするみんな。
そんなに面白いか。
そんなに鼻頭にガーゼ貼ってる姿が面白いか!
仕様がないでしょ、顔面から思いっきり地面に擦ったんだから!
だからガーゼは嫌だ!って言ったのに!
けどバイ菌入るからあかんって侑士に言われて、仕方なくやってんだよ!

「映、ごめんね・・・。」
「あーそんな落ち込まなくって大丈夫だって、ジロー。」
「だって、もしこのまま映鼻治らなかったら、俺どうしよう・・・。」
「いやいや、そんな全然深刻じゃ無いから。治るって!若干鼻は低くなってるかもだけど?なーんて・・・」
「え・・・。」
「え・・・?」


えー!!?


「嘘だよ!冗談だよ!大丈夫だよジロー!ね、若!」
「えぇ、全然大丈夫ですよ。前と変わらず低いままですから。」
「ね!だから大丈夫だよ!そんで若、ちょっと顔貸そうか!」
「えぇ、良いですよ。」

フフフ、許さん!
今日という今日はコイツを許さん!!






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