sit in the sun | ナノ

22-5


「・・・今、なんか言った?」
「え?言ってないぜ、なぁ?」
「俺も何も言うてへんよ。どうしたん?」
「なら良いんだけどさ・・・。」

・・・幻聴、かな?
なんか、あまり聞きたくなかった声が聞こえたよな・・・。

「君、面白いね!名前何て言うの?」
「!!?」

げ、幻聴じゃ無かったー!
後ろから突然聞こえた声。間違いない、この声は・・・。

「なんや自分、山吹中の確か・・・千石?」

そう、仁と同じ学校の千石清純。
何を隠そう、私の苦手な男である。(*1話参照)
こ、こいつに見つかってしまうなんて・・・最悪だ!

「お、そういう君は氷帝の忍足君だね!」
「なんでお前がこんなとこにいるんだよ。偵察か?」
「いやーそんな怖い顔して睨まないでよ宍戸君。偵察なんてしてないよ。俺、可愛い女の子にしか興味ないもん。」
「・・・何なんですか、この人は。」
「っ日吉!ジュニア選抜に選ばれた千石さんだよ!ごめんなさい千石さん・・・!」
「あはは、良いよ良いよ〜。それで、さっきから黙ってるけど君の名前は?」


どきーん


「イヤ、私は名乗るほどのもんじゃ・・・。」
「そんな恥ずかしがらないで♪顔も見たいなー・・・って、あれ?」
「!!」
「映ちゃん!?」
「・・・いいえ、違います。私の名前は映ですが、あなたの言う映じゃありません。」
「・・・何言うてるんや?」
「さあ?映がおかしいのはいつもの事だろ。」

ちょっとそこのダブルス、小さい声で言ってるつもりだろうけど聞こえてますよ。

「やっぱりそうだよ!映ちゃんだ!うわ〜久しぶり〜!!」
「なんや映、千石と知り合いなん?」
「いいえ、全く知りません。赤の他人です。」
「もうヤダなぁ映ちゃん恥ずかしがっちゃって!俺と映の仲じゃない☆」
「変な言い方するな!お前なんか仁の知り合いじゃなかったら・・・」
「やっぱり映ちゃん俺のこと覚えててくれたんだね!俺嬉しい〜!」
「ギャーーー!近寄るなーーー!!!」




バターン!




「映ちゃん、相変わらず愛情表現が激しい、ね。あは。」
「っはぁ、はぁ!よっしゃぁ成敗したりー!!」


あああああビックリしたー!


「って、成敗したりーちゃうわ!」
「だ、だって・・・」
「・・・はぁ。何してるんですかあなたは。」
「だ、だって・・・」
「だってじゃねぇよ!コイツ仮にも山吹の選手だぞ!?激ヤバいだろ!!」
「だ、だって・・・」
「あっはっは!映最高ー!」

ううう、だってだって、考えるより先に体が動いちゃったんだもん!




気がついたら、背負い投げしちゃってたんだもーーーん!!






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