sit in the sun | ナノ
22-3
あぁもう、宍戸のせいで無駄にときめいてしまったではないか全く。
「なんか言ったか?」
「何も言ってませんよ!」
「?そうか。」
ったく、どこまで鈍いんだこの男は!
「氷帝は順当に勝ったみたいだな。」
「そりゃ当たり前ですよ。こんなとこで負けるわけが無いじゃないですか。」
「お前、後輩のクセにほんとムカつくな!」
「まあまあ、落ち着いて下さい先輩。」
「せやで、2人とも少しはおとなしくしぃ。」
宍戸に何か言い返してやろう。
そう思った時、うるさい氷帝コールの中でもはっきりと聞こえて来た会話。
その会話に、私は思わず声を詰まらせて振り返った。
だってこの声は・・・
「侑士、岳人!若と長太郎も!」
「よっ映!」
「ジローもおるで。」
そう言って侑士が指さす方を見れば、確かにジローがいた。
長太郎に背負われて寝てるけどね。
「なんだよ、全員そろって。」
「お、宍戸お疲れ!」
「いや、俺まだ試合してねぇし。」
「で、なんでみんな来てるの?今日は学校で練習じゃ・・・?」
「せっかくの氷帝の初戦だからよ、みんなで見に来たんだよ。まあ午前中だけで帰るけどな。」
「俺は午前から練習したかったんですけどね。」
「まあまあ日吉、そう言わないで。」
気がつけばあっという間に、いつもの空気が出来上がっていた。
・・・さっきの意見は訂正しよう。
たまには静かなのも良いとか思ったけど、やっぱり私が好きなのはこの雰囲気だ。
「鳳の言う通りやで、それに他の学校の試合見れたんやからええやろ?」
「・・・まあ、そうですけど。」
「他の学校見てきたんだ!良いなー良いなー。」
こんだけ沢山の学校が来てるんだもん、私も色んな人のプレー見たいなー!
あ、確か青学のみんなも来てるよね。
合宿以来会ってないから会いたいなー。
「映、抜け出せないのか?だってもう氷帝勝ち決定だろ?」
「んーそうなんだけど、初戦は5試合全部行うからあと宍戸と跡部のがあるんだよね。マネージャーが抜けるわけにはいかないでしょ?」
「まぁ、それもそうやな。」
「じゃ、さっさと残りの試合終わらせて早く見に行こうぜ!」
「おい岳人、簡単に言うなよ。」
「先輩、早く終わらせる自信無いんですか?」
「おいこら若!味方を挑発するな!」
「言われなくても、さっさと終わらせてきてやるぜ!」
「わ、単純すぎる。」
「何か言ったか?」
「ううん、何も?はい、行ってらっしゃい!」
「がんばりー。」
「おぉっ!」
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