sit in the sun | ナノ

21-6


ズルズルズルズル


「あ、あのー・・・」


ズルズルズルズル


「もしもーし跡部さーん?」


ズルズルズルズル


「ちょ、部屋通り過ぎたんですけどー!」
「・・・つから・・・」
「はいっ!?聞こえないんですが!」
「いつから、日吉のこと名前で呼んでんだよ。」
「・・・は?」

ピタリと引きずるを止めたと思ったら、こっちを向いてそう問いかけてきた跡部。
・・・どういうこと?
何で跡部が、若の呼び方のことをわざわざ聞いてくるの?全然関係なくない?
確かに名前で呼ぶようになったのついこの間だけど
・・・意味が全く分からない。
ついにおかしくなったのかコイツ?まぁおかしいのは元からだけど!
なんちゃってー・・・なんて、ふざけながら軽く考えていたけど、射竦められた瞳があまりにも冷たいもので。




息が詰まる。




「いつからかって、聞いてんだよ。」
「・・・っ!」

強くなった跡部の握力に、思わず顔を歪めた。
ギリギリと、掴まれた部分が悲鳴をあげていく。
痛い・・・!





「跡部、いい加減離してやりぃ。」

ふと手の力が弱まったと思ったら、跡部と私の間には人影。

「ゆ、侑士・・・。」
「いくらサボっとったからって、怒り過ぎやろ跡部。ほら、手。」
「・・・あ、あぁ。悪かったな。」
「いや、別に・・・。」
「・・・。」
「はぁ・・・。映、先に部屋に戻っとき。」
「え?あ、うん。」

何か良く分からないけど、とりあえず侑士のおかげであの場から離れる事が出来た。
それにしても・・・一体なんだったんだろう。
あんな跡部、見た事無かった・・・。




―――――――――――――――




「跡部・・・。」
「・・・何だ。」
「自分、何がしたかったん?」
「・・・別に、なんでもねぇよ。」
「映の腕、赤くなっとったで。」
「・・・少し、イラついただけだ。」
「何でイラつくんや?確かに部屋抜け出してサボっとった映が悪いんやろうけど、あないに怒ることないやろ?」

そう告げればバツが悪そうに下を向く跡部。
・・・まあ、最初からふたりの後つけて見とったから分かっとるんやけど。
それでも、跡部の口から聞きたくて。
跡部の映に対して抱き始めているそれが、確かなものなのかどうなのか、を。

「・・・はぁ。なんや、自分でも分かっとらんのかいな。」
「どいういう意味だ・・・?」
「そのまんまや。全く・・・。」

どうやらまだ本人は気がついていないようだ。
インサイトで敵の事は何でも分かるくせに、自分の事は全然分からんのやな。

「おい、ちゃんと言え。」
「・・・嫌や。自分で考え。」

教えてなんかやらへん。

「教えて変に意識されたら、面倒やし。」
「は?」
「こっちのことや。」









答えは簡単
それは、嫉妬や





(20081220/20100601修正)

- 120 -

[*前] | [次#] | [戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -